間書《アレスside》
まただ。また乗せられてしまった。
何で俺はいつもこいつに乗せられているんだろう。
我ながら情けなすぎる。かつては騎士として名をはせた名家。
『どうした? アレス』
「そう言えば初めてあった時も乗せらてたよなぁ。俺」
俺はため息交じりに肩を落とした。
そもそも何で俺はこいつに勝てないんだ?
俺達、亜人種はエルフや人間の様に魔法こそは使えないけどドワーフに引けをとならない筋力を持ち、何より武器に魔力を集中させ属性を付与させる事が出来る。
それに比べて、こいつら人間はどうだろう。魔法はエルフどもと違い詠唱を必要してるし、武器への属性付与もインテリジェント・アームズによるものだ。
それに身体能力はどの種族よりも劣っている。
なのに……それなのに……俺は……俺はぁ!
初めて会った時、当時傭兵だった俺は依頼人とのトラブルで機嫌が悪かった。その時、こいつの挑発に乗せられて戦って負けたんだよなぁ。
しかも、僅か2分で!
幾ら何でも弱すぎるだろ! 俺! もっと頑張ろうぜ!
しかも、結果がこの茶髪の悪魔とコンビを組むはめに。
まぁ、金銭面は楽になったし金周りも良くなって傭兵よりもトレジャーハンターの方が気楽にやっていけて楽しいから良いんだけど。
それにしても、人間で言う中肉中背だっけ? そんな体型のどこに俺を倒せる力があるんだ。
「何ぼさっとしてるんだよ! うらぁ!」
ゲシッ!
「あだぁ!」
今度は回し蹴りかよ!
ほんと容赦がないなこいつは!!
『大丈夫か? アレス』
「まぁ、いつももの事だしなんとかな」
と言うかこの状況になれ始めている自分に軽く自己嫌悪してきた。
「だから、ボケッとすんなっ!」
バキィ!
「アベシッ!」
今度は右フックか。
「おら、とっと行くぞ!」
「ふぎゃぁ!」
倒れている俺を思いっきり踏みつけて前に進んで行った。
こいつと組んで一番の不満はこの傍若無人ぶりだな。
『ほんとに大丈夫か?』
「あぁ、ほんと大丈夫だ。取り敢えず、物的なダメージには慣れたから」
あっ、ほんと自分で言っていて虚しくなってきた。
あれ、何か悲しくなくないのに涙がでてきた……
「おい、いつまでもボサッとしてる。次は――」
『ちょっとまて、それはやりすぎだろ!』
いつまでも前進しない俺にウィルは赤い石を持ち構えた。
おいおい、冗談じゃね!
それはいくら何でもないだろ!
「わかった! 今行くからその物騒なのをしまえ!」
「じゃあ、早くしろよ!」
ったく、何でこう他人容赦がなねぇのかな。こいつは。
いくら何でもあれは俺でも耐えきれんぞ!
まぁ、取り敢えず急いで追いかけるか。構えてはいないけどしっかりと手に持って待ってやがるしな。