プロローグ1
プロローグ
後の後世のために記しておく。
太古の昔、一つの国に破壊と創造を司る力を持つ【意思を持った】武器があった。
一つは創造を司るスプタン・マンユ、
もう一つは破壊を司るアンリ・マンユ。
そのあまりにも強大な力を誇る武器に対し、人々は二つの寵物を“神”と敬い、自らを配下に置くことで平穏を築いていた。
しかし、“武器”とは本来“人”が使う物。武器に支配されている事に疑問を持つ者も少なくない。
初めこそ僅かな数しか居なかったのだが、何時しか声は広くに響き、異端は風潮へと変貌してゆく事で徐々に『改革』を主張する者は増え続けた。
やがて国に住んでいるすべての種族の意見は二つに対立し、国と共に武器は二分する。
片や破壊の力を持ち、ダークエルフを代表とした魔族と亜人種を中心に人間を奴隷として扱う「神さえも殺す」国『ロンギス』
片や創造の力を持ち、エルフを代表とした天族と人間を中心に他種族を奴隷として扱う「断てぬ絆」国『デュラン』
両国の対立は時代を渡るたびに増長しながら争いは続く。その過程で、人々は力を国全域に分配するために、それぞれが崇める武器の複製品を作りだすまでに至った。
力を上げては磨り減り、補ってはまた撃ち合う。
時代を越えて続く不毛な連鎖により、両国は互いに疲弊していった。
勝手に祭り上げる生命。愚行を主張と断ずる国家。
そんな身勝手で醜い争いを見守り、助力してきた二つの“神(武器)”が嫌気をさしてしまうのは無理らしかぬことであったのか、時の節目に争いの中核であった二つの武器は両国を裏切り、協力して両国を滅ぼしてしまった。
文明の終結後、二つの武器は力を使い果たして眠りにつく。
生き残った人々は戦うために作り出された神の複製品を各地に封印し、二つの神は二度と目覚めぬようにより厳重なる封印を施した。
“種族”が“武器”を祭り、“武器”が“種族”に天罰を与えた戦争。
世界を変えてしまった規模の大きさから、後に『大戦』と呼ばれるようになる。
――それから数千年後。両国の種族は和解し、再生を意味する国『リプロス』となった。
そして過去の過ちを繰り返さぬように、複製品と古代技術の管理・保管を率先して行い、研究する組織を創設する。
これが、現代にて「数多の武器を保持する教会」、『アーティファクト・ガードナー』の原型である。
『古文書より抜粋』