第四話 優秀な妹
更新間隔バラバラ…申し訳ないです
赤坂早紀。
彼女は優秀な妹である。
「早紀ほど素晴らしい妹は居ない」と豪語するのは兄の赤坂陽一。
朝。
「お早うございますお兄様」
「お、おはよう…」
兄妹の朝はここから始まる。
「お兄様?朝食の準備が出来ておりますので階下へ降りてきてくださいね」
「わかったー」
そうは言っても惰眠を貪りたい年頃の陽一は再びベッドへダイブ。
すかさず早紀がやってきて、
「お兄様、私が作った朝食はいらないと仰るのですか?」
そんな事を言いながら目を潤ませて上目遣いで陽一を見るものだから陽一も渋々ながら起きる。
「はい、お兄様口をお開けになってください」
「あーん」
早紀が陽一に朝食を食べさせるのもいつもの事。
周りに居た給仕たちを尻目に躊躇うことなく次々と皿にある物を平らげさせていく。
「美味しいですか?」
「うん、美味しいよ」
余り表情を変えることのない早紀は兄と会話しているときだけ笑顔になる。
今も、陽一が咀嚼しているのをじっと見つめながらニコニコしている。
とてつもなく平穏な朝の光景である。
昼時。
「お兄様、ブレイクタイムです」
そういって早紀が飲み物などを載せた台車を押してくる。
勉強中だった陽一はその手を止め、寛いだ。
「差し支えなければお兄様…勉強を教えていただきたいのですが」
「ん、構わないよ。どこが分からないんだい?」
ブレイクタイムは専ら早紀への家庭教師の時間となることが多いのである。
夕食を終え、風呂に入って安らぎの時。
「お兄様?失礼いたします」
ガラガラと戸をあけて入ってくるのは身体にタオルを巻きつけた早紀。
「お背中を流しますね」
陽一が止める前にさっさと始めてしまう早紀。
陽一はされるがままになってしまうのだった。
他の家と違うのは、早紀は絶対に陽一には体を洗わせないことにある。
早紀は陽一の背中を流し終えると何事もなかったかのように風呂場から退出するのである。
そして夜。
自室に入った陽一を待ち受けているのは早紀だった。
服を着替えてネグリジェになった早紀は陽一のベッドで眠りについていた。
いつもの事だと割り切る陽一も陽一であったが、特に気にせずその隣に潜り込んだ。
これが彼らの日常であり、二年前までの日常であった。
外伝ですから割と短くなります。