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第一話 少年と少女

本編の伏線回収の為にやってます

「暑い…」

アスファルトでコーティングされた地面に降り立った一人の少年。

彼がいるのは滑走路である。

かつてもたらされた条約によって日本の領土が太平洋の島付近まで迫ったのは昔の話。

今日において旧日本の領土は中立地帯と化していた。

決して日本が負けたわけではない。

時の首相(名前は忘れた)が戦後の国連会議において

「新領土の整備をするのは面倒だから領土放棄する」

という名言は戦争が終わって数年経過している今でも誰もが知っている言葉である。

その模様は中継され、各国の代表がこぞって口を大きく空けてマヌケな顔をしていたのは笑ったが。


閑話休題。


そんなこんなでここ、人工大地(有体に言えばメガフロートなのだが自然のものでなければ領土とは認められない)に巨大な研究施設を建てようじゃないかと決めたのも時の政府。

もちろんそこで働くための研究者育成の学園も建てた。

民間企業がこぞって出資して今に至る。


「まったく…誰に説明してるんだか」


そう言ってとりあえず歩き始めた。

行き先は寮という奴だ。


その時だった、南太平洋にそぐわない無機質な警告音が流れたのは。

「CAUTION!CAUTION!航空機が滑走路に進入します!

 滑走路内にいる人間は直ちに退避して下さい」


一瞬空に光点が見えたためそこを注視してみる。

いた。戦闘機だ。戦闘機(・・・)!?

滑走路に戦闘機進入+滑走路にいる俺=死


緻密?な文字式を組み立てた少年は結果を回避するために走った。戦闘機が通り過ぎるのと少年が草むらに飛び込んだのは同時だった。


何とまああれだけの速度で制動距離がここまで短いとは。

ここの滑走路は通常の空港の半分くらいの長さしかないと聞いたことがある。

もちろん必要がないからだ。

「わざわざ戦闘機でやってくるなんてどんなじゃじゃ馬でしょうかねっと」

気を取り直して少年は戦闘機がスポットインしたところに走っていった。


そこで見た光景は少年の想像を大きく超えるものだった。






飛行機から降り立ったのはお嬢様でしたとさ。ってオイ。

空気にツッコミを入れて改めて少女を見る。

可愛い。

透き通った蒼い瞳。太陽の光を浴びて更に輝きを増している明るさ満点のロングブロンドの髪。

それでいて半袖を着ているんだからアクティブなんだか深窓の令嬢なんだかよくわからない。

ふと少女と目が会った。

少女は首を傾げた。

「やべえ…超可愛いんですけど」

周りにいた体格の良いサングラスのおじさんたちに囲まれる、アレ?

「待って、皆。日本の褒め言葉なのよ」


タラップを駆け下りてくる。うん、やはり彼女はアクティブなようです。


「すみません、従者が粗相をしましたね。私の名前は、クリスティナ=H=アルフォードです」

畏まられたので恐縮。

「ああえっと、俺…いや僕は赤坂陽一です」

一応挨拶。うん?アルフォード?

「あの…アルフォードって?」

「ええ、父はハワード=H=アルフォード、アルフォード社の現社長です」

何でもないことのように告げられた。

いや、重要案件である。

陽一の中を複雑な思考バイパスが駆け巡った。


アルフォード社といえば世界最大の軍需産業。最近では様々な業種に手を伸ばして総合商社とも言われているが…まさか一人娘がここまで可愛いとは。

いやいや可愛いとかまだそういうことを気にしているのか。


さほど複雑な思考バイパスではなかったようだ。

アルフォード社はこのメガフロートにおいても多大な資金を提供している。

だから学園の名前がアルフォード研究大学となっているのだが。


「赤坂…陽一様ですか…」

クリスティナは暫し黙考していた。

「どうしたの?アルフォードさん」

気になったので尋ねてみる。

するとクリスティナははにかんだ笑顔を向けた。

「クリス、でいいですよ?親しい方たちは皆そう呼んでいますし」

「了解した。で、クリスは何を考えていたのかな」

「えっとですね…」

どこかたどたどしく言葉を続ける。

「陽一の陽ってハルって読めますよね」

コケた。盛大にこけた。えらく思案顔だったからさぞ複雑なことを考えていると思っていたのにそんなことを考えていたのかこのお嬢様は。

コケた陽一を不思議そうに見るクリス。

「ああ、そうだよ。ハルと読める」

ヒマワリの様な笑顔が陽一を照らした。

「じゃあ、これからはハルって呼びますね!」

「あ…かまわないよ」

「それじゃあハル?行きましょう!」

「行くって何処に!!」

「決まってるじゃないですか。寮ですよ寮」

ポカンとしている陽一の顔を見てクリスは勘違いした。

「え…え…もしかしてハルは学生じゃなくて研究員なんですか?」

こころなしか目に涙が浮かんでいた。

陽一の心臓が警鐘を鳴らす。

「待て、ここで泣かれたら俺の命が危ない」

「ひぅ…ひぐっ…」

「学生だよ!俺も!さあ行こう!」

陽一の言葉を聞いてクリスは涙を拭った。

「よかった~。折角出来たお友達が学生じゃなかったなんていう展開は最悪でしたから」


まあ基本こんな感じ…でもない。

シリアス展開まっしぐらでもないけど。

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