『庄屋とプレスマンと折れる芯』
掲載日:2026/05/10
ある村に、心優しい庄屋がいて、困っている旅人を、快く泊めてくれるのでした。ある日、手くせの悪い者を泊めたばかりに、大切にしていたプレスマンを盗まれてしまいました。庄屋は、下男や下女たちに、お前たちが無事だったなら、プレスマンなんて惜しくはない、と言いましたが、本当は泣きそうでした。実際に、一人のとき、結構泣きました。
しばらくして、一人の修験者が宿を求めてきたので、泊めてやりました。修験者は、プレスマンを盗まれた話を下男下女から聞いて、私の法力で懲らしめてやりましょうと言って、半刻ほどかけて準備をして、何だか大きな声を出して祈りました。庄屋が、何を祈ってくれたのか尋ねると、盗まれたプレスマンに呪いをかけたので、芯が折れて使い物にならなくなる、と言うので、プレスマンの芯が折れるなんて、普通じゃないかと思いましたが、黙っていました。
二日ほどすると、玄関先に、盗まれたプレスマンが置いてありました。分解してみると、中で芯がぼきぼきに折れて詰まっていました。盗んだ者が、使い物にならないと思って返しに来たようです。庄屋は、この出来事の後も、困っている旅人を、快く泊めてあげ続けました。
教訓:修験者がのろいをかけるまでは、芯が折れなかったのだとすると、庄屋は、そこがすごいのかもしれない。




