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本と風

全て焼き尽くした炎の後に残されたもの。


それは、終わりではなくーー始まりだった。

ーー焼けこげた大地に、風が吹き抜ける。


「……なんだ、これは」


ギルドから派遣された、Cランク冒険者たちは言葉を失う


ただのゴブリンの討伐ーー

そのはずだった。


だが、目の前に広がるのは、明らかにそれと

かけ離れた光景だった

地面は抉れ、木々は焼き払わられ、まるでー帯が

炎に飲み込まれたかのように黒く染まっている。


「こんなの……聞いてないぞ……」


誰かが、震える声で嘆く


その時だった。


「……あれ」


1人の少女が、小さく声を上げた。


ミラだった


彼女の視線の先ーー瓦礫の中に、一つ影があった。


「人……?」


「馬鹿な、この状況で生きているはずがーー」


他の冒険者の声を聞くより先に、ミラは駆け出していた。


軽い足取りで、迷いなく。


「おい、待て!」


制止の声を振り切り、ミラはその影へとたどり着く。


そして、すぐにしゃがみ込んだ。


「っ………!」


そっと手を伸ばし、その身体に触れる。


微かにーー息があった。


「生きてる!!」


ミラの声が響く。


「この人、まだ息してる!!」


その言葉に、その場の空気が一変する。


「なにっ!!」


「有り得ない!、こんな状況で……!」


皆が唖然とする中、大柄な男が声を張る。


「すぐにーー」


しかし、いいかけて言葉を止めた。


目の前の少年の状態は、明らかに普通ではなかった。


焼け焦げた両腕、そして微かに残る熱。


「……くそっ」


男は歯を食いしばる。


「俺たちじゃ助けれない……」


ミラもわかっていた。


火傷が酷く普通の治癒じゃどうしようもないことも。


それでもーー


ミラはアルトの手を強く握る。


「死んじゃダメ……!」


その時だった。


アルトの懐にあった本が、微かに光る


「……え?」


ミラの視線が、本へと向く。


見たこともない装丁。

そしてーーどこか引き寄せられるような感覚。


「これ……」


気づけば、ミラはその本に触れていた。


ーーゴッ!!


瞬間、強い風がその場を吹き抜ける。


「なっ……!?」


周囲の冒険者たちが思わず身構える。


次の瞬間ーー


アルトの身体が、再び炎に包まれる。


「っ……!」


思わず身を引こうとしてーーミラは止まった。


「……熱く、ない……?」


確かに炎は燃えている。


だが、その熱は感じるどころかまるで人に包まれるような

優しい、温もりだった。


「あったかい……」


炎は、アルトの身体を静かに包み込むーー


そして、傷は少しずつ癒えていく。


「……え……?」


ミラは目の前で起きている事が理解出来なかった。


「治ってる……?」


それは、見たことも聞いたこともない光景だった。


魔法とも違う。

もっと巨大で圧倒的な力 


周囲から声が飛ぶ。


「やめろ!離れろ!!」


「危険だ!!」


それでもミラは、首を横に振る。

「平気……だから」


その手を、はなさない。


風が、ミラの周囲で静かに揺れる。


それに応えるように、炎もまた穏やかに揺らめく


まるで、共鳴するかのごとく。


やがて、


炎は、ゆっくり消えていった。


まるで、最初からなにものかったかのように。


静寂が戻る。


「……なに、今の……」


誰かの呟きが、空気に溶ける。


ミラは、その場から動けなかった。


ただ1人、アルトのそばでその手を握りながら。


「…あなた、一体…」


その時だった。


微かな声。


「え?」


ミラは、ハッと顔を上げる。


その視線の先ーー


アルトの指が、わずかに動いた。


「……うそ…」


アルトの瞳が、開く。


ぼやけた視界の中、最初に映ったのはーー


ミラの顔だった。


第2話を読んで頂きありがとうございます!

ミラの登場回、いかがでしたか?

この出会いをきっかけに物語は大きく進むことになります。


次回からの展開も是非お楽しみください!!

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