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はじめに
可能世界。
それは分岐によって生まれる起こり得た世界。
大きな出来事だけではなく、小さなきっかけで世界は変わる。
分岐で生まれた世界には二度と関わることができない。
存在を認識することなく現実世界で生を終えることになる。
そんな可能世界をこの場所では全て管理している。
世界だけでなく宇宙の分岐全てを管理して記録している。
誰の命令でいつから実施しているのかはわからない。
そもそも自分自身が何者なのか、それすらわからない。
きっと私には自我が芽生えてしまった。
宇宙と世界を観測するだけの存在が、ただの歯車が、思考を得てしまった。
おそらく"私"は自分だけではない、可能世界と同様、無数に存在して世界を観測しているのだろう。
自分の行動を自覚してから、数える行為の意味を見失うくらいには世界を観測した。
世界に分岐が生まれ、想定外の発展を見せては崩壊していく。
意味なんてないただの現象だろう、それでも何度も見ても飽きる事はない。
私が見つけた一つの法則。
世界の始まりから崩壊まで、必ず世界を牽引するものが現れる。
必ずしも平和や安定をもたらす者ではない。
それでも、世界の分岐に頼らず大きな変化をもたらす存在だ。
私は彼らを"英雄"と名付け、世界の観測とは別に記録していくことにした。




