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 私は緊張していた。

 今日のお手伝いが終わり、頼まれてミモザさんにも『クリーン(石鹸の香りつき)』をかけてから、与えられた部屋に戻ってきた。

 さっき、異世界でやりたかったことをもう一つ思い出したのだ。

 ()()は人前では絶対に出来ない。

 何しろこの世界に存在するのかも分からないし──何よりしくじったら死ぬほど恥ずかしいからだ。


「いざ」


 私はベッドに腰掛け深呼吸すると、ファンタジー好きが異世界に行ったならば一度は言ってしまうであろう()()()()を叫んだ。

 

「ステータスオープン!!!」

 

 ブィン。という効果音は無かったけれど、音も無く()()は姿を現した。


「出た!」


 宙に浮いた画面の様なモノ(ウインドウ)が目の前に!

 

 ----------

 名前:スピカ 年齢:十六才

 ----------

 

 それと・・・


 ----------

 リスト『異世界でやってみたい50のこと』

 

 達成可能(4)--新規(4)・確認済み(0)

 ★読み書きはこの年で覚えたくないのでチートにおまかせしときたい

 ★異世界ならではの店をまわりたい

 ★冒険者ギルドに行ってみたい

 ★冒険者登録してみたい

 

 未達成(40)

 

 達成済み(6)--新規(6)・確認済み(0)

 ★異世界転移をしてみたい→でも森から開始とかやめて欲しい

 ★できれば日本の乙女ゲームかお話の世界に転移してみたい(モブで)

 ★転移の拍子にちょっと若返りたいし、赤い髪色になってみたい

 ★剣と魔法の世界に転移してみたい

 ★困りたくないから魔力は多めで転移したい

 ★ステータスオープンと言ってみたい

 ----------

 

 見覚えのあるリストが載っていた。

 そして達成済みリストの中に「魔力多めで」の文が──そういえば異世界で困らないようにと思って書いたんだった!

 ほんと、真面目に考えた(星良)、グッジョブだ!!

 お金は多分稼げるけど、魔力量だけはどうしようもないもの。


 そしてこの身体は十六才らしい。

 レベルやMP、HPの項目が見当たらないが、魔力量は多めらしいので困ることも無いだろう。

 

(そもそもこの世界の皆さんがステータスを出せるとは限ら・・な・・・)

 

 そこまで考えて気付く。

 この世界に「ステータスオープン」は無い。あれば名前や年が不確かであった時点で先生やミモザさんからステータスを出すように促されたはずだし、もし他にステータスを見る手段があるのならば冒険者ギルドに行く前に、そっちに行こうと勧められるはず。

 それにさっきミモザさんと話していて使える魔法に属性という概念がないらしいと思ったではないか。ステータスを見ることが出来るのであれば魔法属性の概念があってもおかしくない。


 あり得るのは異世界転生・転移特有の『チート』だけど、もしそうならステータス画面は


 ----------

 名前:スピカ 年齢:十六才  異世界転移者


 レベル:X

 体力:XXX   魔力:XXX

 攻撃力:XXX  防御力:XXX

 ----------


──なんて感じになっているはずだよね。


「・・・」


 嫌な予感がする。

 私はウインドウに手を伸ばすと、右上にあった馴染みのある『×』ボタンに触れた。すると、思った通りウインドウが消えた。

 そして今度は「リスト?」と自信なさげにつぶやいてみたのだが──これまた思った通り、リストが申し訳なさそうに現れたのだ。

 

 そっか。コレはステータスじゃなくて、リストを確認する為だけのモノだったのか。

 

『★ステータスオープンと言ってみたい』というリスト項目を消化するためにあの掛け声で()()()()()()()だけで、オマケで名前と年齢を()()()()()()()()と言う訳か(誰が?)。


 確かに「ステータスオープン」と言うことが出来ました。

 なんで『ステータスオープンと()()()()()()』にしちゃったのかな。あんなに考えたんだけどな。


『好きなときに自分のステータスを確認したい』とかにしておけば良かったのかな。

 

 しかし後の祭りだ。

 私は気持ちを切り替えてリストを見る。


 達成済みは5項目。

 達成可能リストは、今現在で達成可能な項目かな。未達成はその時まで見えないらしい。

 私はふと気になって、『達成済み』の横にある『確認済み』の文字にそっと触れてみた。

 すると音もなく別ウインドウが出て『確認済みのリストを折りたたみますか?Yes-No』と聞いてきたので『Yes』をタップ。

 確認した達成済みの項目が消え、達成済みリストが


 ----------

 達成済み(5)-新規(0)・確認済み(5)

 ----------


となったのだ。

 

「おお」と、ちょっと驚いているとまた新たなウインドウが出てきて『今後達成済みリストを確認した際は自動で折りたたみますか?Yes-No』と聞いてきたので、今度は声に出して「イエス」と答えてみた。

 思った通り『設定しました』とウインドウが出て消えた。──音声でもいけるらしい。

 

 因みに『達成可能』は見えなくなったら不便なので、『確認済みのリストを折りたたみますか?Yes-No』で『ノー』と答えたら『今後変更する場合は「設定」とおっしゃってください』とウインドウが出たので「はーい」と心の中で答えたらウインドウは消えた。

 

「・・・・・・」なんだかなー。

 


 ----------

 リスト『異世界でやってみたい50のこと』

 

 達成可能(4)

 ★読み書きはこの年で覚えたくないのでチートにおまかせしときたい

 ★異世界ならではの店をまわりたい

 ★冒険者ギルドに行ってみたい

 ★冒険者登録してみたい

 

 未達成(40)

 

 達成済み(6)-新規(0)・確認済み(6)

 ----------



 かなりリストがすっきりした。

 ちなみに「気を遣ってステータスみたいに名前と年齢を入れてくれなくても良いですよ~」と言ったらそれも消えてしまった・・・・・・ぐすん。


 リストは全部で50項目。

 あんなに真剣に考えたのに何故か未達成の項目が思い出せないのが少し気になるけれど、変なことは書いていないので楽しみにしておこう。

 変なこと、書いてないよねぇ──ステータスオープンみたいに「思ってたんと違う」とか、「→森から開始」の時みたいに結果思わぬピンチに陥りそうになるとか・・・他には無いよね・・・。


 私はベッドの中でそんなことを悶々と考えていたけれど、慣れない生活に疲れていたようでいつの間にか眠りについていた。

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