目撃証言95『髑髏仮面の見える先』
「は……」
1人の男が唖然とする。
プールサイドで、呆気に取られる。
手鏡から生えた手は仮面を奪うと同時に這い出て来た。
「あは! やった!」
レイディーが、嬉しそうにしながら仮面を被る。
「ぷ!! kっく!! っふあはははああははははは!! うそん! うそん! うそおおおん! そんなのなの! 貴方ちゃんと見てたの! まさか! まさかこんな事になるなんて! でもいい!! 素晴らしい! 私は質の良い人生が送りたい! 短くても多くてもどっちでもいい!! そう! 質の良い人生を! それともこれは本人の見たいものしか見えないのかな? ねえ? ボス? これ見た時どう思い……ああ……そう……そうね……今の現状を説明すべき?」
レイディーは、嬉しそうにしながら男の目の前に立つ。
「あれは……レイディー……」
「どうしてここに……いつの間に現れたの……」
「手鏡……あの女の能力なの?」
そんな能力はない。
しかし、加瀬風美が目撃体質を拗らせ、魔力が纏わりつく事によって、鏡に不思議現象が起こり、干渉する事が出来た。
それが風美を呼びつけた理由であった。
「あげ……あべえ」
最も、呼びつけられた風美は、全身複雑骨折をして失神していた。
「なんでお前……まさか……俺から全てを奪うのか……貴様っも……貴様も私を悪とし正義の刃を振るうつもりかああああああああああああああああああ!!」
癇癪を起すように絶叫する男に、レイディーは、キョトンとした表情で答える。
「え? 正義? 何を言ってるの……私達は悪でしょ? ボスを倒す=正義ではないでしょ? そもそも私はドキドキの戦士の仲間になるつもりはないよ? 貴方はただ自身より最も上の悪の圧し潰されるの……確かに法律が変わって今の貴方を正義の刃で滅多刺しにされたのかもしれないけど……違うよ、君は私という悪に勝らなかっただけ……云わばただの被害者、OK?」
微笑みながら語り掛けるレイディーに、髑髏男は涙を流す。




