目撃証言94『がむしゃらに裏切られて』
「薄い壁だと……俺を……俺を……よくも……酷い……そうやって皆否定するんだな……許さない……そうだ……全て道具だ……ここにある者全て……道具だ ひゃあ!!」
涎を撒き散らしながら魔力の太い糸を伸ばす。
「ふえ?」
風美は、背中と腕、足に張り付いた事に気付いた。
「いやぶあああああああああああああああ!!」
「風美ちゃん!!」
「どうしてそんなところに!!」
風美は、振り回されるように髑髏男に操られる。
「貴様等! こいつは殺せるかああ!! あの女すらも殺せない奴に! コイツをおおお!! 殺せるかあアアアアアアア!!」
髑髏男は理解していた。
風美が、二人の同級生である事。
そんな知り合いに手を上げれる程、冷淡な人間ではないと。
霧雨すらも、同級生が操られた際、メリップがクッションにならなければ空気で吹っ飛ば差なかった。
しかし、そんな余裕は何処にもない。
「全く……私なら出来るわよ」
「!! ダメだよ! ダークアイシャドウ!」
「黙りなさい! 手詰まりになるわよ!」
ダークアイシャドウは、容赦なく風美に攻撃を加えようとした。
しかし、体の骨が軋むような音を鳴らしながら真横に移動する。
「gぎぎぎぎぎぎg!!」
風美は、悶絶しながら涙を流す。
「っく!!」
「どうしたどうした! その女もこうだああ!」
女の内側が抉れるような音と共に、血を吐く。
「人形はな! 乱暴に扱う者なんだよおおお!!」
調子に乗ってがむしゃらに、攻撃を続ける。
それが思いのほか効果的であったのか、調子に乗り始める。
しかし、ボスとはがむしゃらになってはいけない。
Byレイディ
「へ?」
目の前に手鏡が落ちてきて、そこから腕が生えて髑髏の仮面は奪われる。




