目撃証言89『アングル』
風美は、あらゆるアングルから髑髏男の攻撃や姿を写真に収める。
「プールっと今考えるといろんな場所に隠れる場所あるよねえ……」
ジャグジー、椅子、パラソル、水中、プールに入る為の段差等、当然髑髏男の死角となる様に目線を避けて通る。
ドキドキの戦士に関しては、そもそも風美がいるとは気付いていない上、ネイルブルーがやられ、戦闘不能状態のせいで、ピンチになっていた為、戦いに集中しないといけなかった。
「でもこんな状況でも勝てちゃうのが美少女戦士だよなあ……」
主人公補正といった都合のいい瞬間、それが今風美が求めている瞬間であった。
「そこに付け入る瞬間がある……」
風美の見ている光景は、今美奈子であるレイディに伝達はされている。
自分の脳波を勝手に読み、それを理解する。
その友人の手腕を信じている。
しかし、一番の理由は。
「しんどい……早く終わって欲しい……兄さんが余りこんなことに関わらないのが分かった」
意外と重労働であった。
意図的に見ると見てしまうでは全然違った事を理解出来た。
見てしまうは、当然隠れれば勝手に情報を貰えるが、意図的に情報を得ようとする行為は、バレてはいけない言った部分とちゃんと情報を伝えないと言った二つの事を行わないといけなかった。
「引き受けなきゃよかった……」
泣きそうになりながら業務を熟す。
『ごめんねエ、でも頑張って」
「うわ……」
明らかに直接脳にメッセージを送られて、風美はうんざりした。




