目撃証言79『意地』
「え……」
「闇堕ちだよ! 闇堕ち! もうさ! こんな世界なんて助けようとしなくてもいいんじゃない? ドキドキの戦士になってドキドキの国を守ってなんていうけど……君に本当に関係あるの? この世界、この街、その性犯罪者である敬重さんを守ってしまったけど……結局守れなかったしそもそも守る必要があったの? 守るのもちゃんと考えて守ればいいのに……」
「それは……」
震える声を出しながら、悩まし気な表情を浮かべる。
「で? 君は今守る必要のない者を守ったにも関わらず、それも失った……君は本当に守りたいものを守る必要があるの? 守る為の事をしても結局無意味に終わるんじゃないの?」
「それは……」
「で? 君はこの世界を守るとして……ドキドキの国を守るとして? どうする? その行動を起こしても無駄に終わるってのが分かったんじゃない? 敵は何処までも何処にでも潜んでいる……それはおかしな話ではない……そしてそれって今もあるんじゃないの? 私は結構身近にそれを持つ相手を知っているよ?」
耳元で囁く言葉を聞いて、良子は恐怖する。
「それって」
「分からない? 私は見たよ……貴方が勝手に敵だと思っている相手は本当に敵なの? 倒すべきなの? それは素晴らしい事なの? 許される?」
その言葉を聞いて、良子は頭を抱えた。
「あああああああああ」
自分もいつの間にか、人を守る存在ではなくなりかけているのではという疑念を持ってしまった。
「じゃあさ……もういいじゃない、敵になろうよ……敵になる事によって君は本当に守るべき世界に自分の大切な者を守れるのでは?」
「え?」
「だってそうでしょ? 疑いを持つ事はおかしな話じゃない……それをどうして拒む?」
「!! 嫌だ……」
「え?」
「嫌だ! 絶対に! 私は間違うかもしれない! でもそれは……ドキドキの国を! この世界を! 守る為だもん! それは私の意地だよ!」




