目撃証言77『腱』
「ムッチョッチョッチョ! お前はこのムッチョ様がぶち殺してやるっちょ!」
ケタケタと嗤いながら、綺麗なフォームで、走り出す。
「うおおおおおおおおおおお! くらえええ! 全力ダッシュ全力パンチいい!!」
ムッチョは、安直なネーミングのパンチをレイディーに突っ込ませる。
「ふむ……せい」
「うおお!! まだまだっちょ!! こんな程度で僕の筋肉は止め……」
「はいはい、分かった」
その瞬間、ムッチョの手に電気が走る。
「っちょ!!」
ムッチョは、少し体を焦がしながらもなんとか踏ん張る。
「ぬむぬ……っちょ……これは……」
「体には電気がある……少し私の血を混ぜればそれらをお掌握できる……君の腕に少し私の魔力を注入したの……だからこんなことも出来る……」
指を少し当てた瞬間、電流がムッチョの体から飛び出る。
「むっちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
悲鳴を上げながら涙を流す。
「っちょ……貴様……よくも俺のうでえおおおおおお!!!」
痺れているせいか、片腕をもう一方の手で持ちながら感触を確かめる。
「だ! なんだ……どうして動かない……大した怪我ではないはずだ!」
不安そうにしながら、腕の様子を見る。
「ふざけるなっ著!何をしたっちょ!」
「腱って知ってる? 関節の繋目を断裂させれば人は簡単に動けなくなる……私の小さな電流を使ってスタンガンの様に電流を繋いでそのまま横に移動させ切裂いた……普段なら電流が散ってしまうけどそれを上手く断裂できるようにした……君の腕は動かないよ」
「!! きさままっちょおおおおおおおお!!」
興奮しながら、ムッチョは、レイディーに襲い掛かる。
「イライー」
「了解!!」
イライーは怪我をした方の腕を殴り付ける。
「っぐがあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
激痛が走り、ムッチョな涙を流しながら痛みに耐える。
「ムッチョ! お前どうした! 今までの修行の成果は何処へ行った!」
琉鬼奈の言葉に、ムッチョは目を覚ます。
「そうだっちょ! 俺はこの世界を……ドキドキの国を……」
「そうだね、これからそれは無駄になる」
レイディーの言葉と共に、ムッチョは目や鼻、耳から血を流す。




