加瀬兄妹は目撃した。

目撃証言71『……新たなる仲間……』

「おお……おお」

「……これどう見れば良い？」

「……私の……ニチアサのイメージ壊れたデース……」

セシリアは、涙を流しながら、変わり果てたマスコットキャラを見ていた。

「ムッチョだっちょ、これからよろしくっちょ、この拳で悪を潰し回るっちょ！」

握り拳を作りながら、自信満々に答える。

「ああ！　お前ならいける！　テストだって合格だ！」

「まさかラグナロクの敵の単独撃破を試験するって……」

恵斗は、唖然としながらも少し焦る。

「俺も頑張らないと」

「大丈夫、少しずつ私との特訓も実っている……」

「そうデース！　頑張りましょう！　あれは……イレギュラーって言いますか……」

ムッチョを見て、二人は少しゲンナリする。

「俺……才能」

「そういう問題じゃない！」

「才能とか言わないでくださーい！　いや本当」

ムッチョは、涎を垂らしながら呟く。

「もっとっちょ……もっと獲物が欲しいっちょ……経験値を稼いでどんな相手もこの拳でグチャグチャにしてやるっちょ」

「お！　頑張れ！」

「いいの？　怖すぎないコイツが人殺すとか」

琉鬼奈の応援に、恵斗は唖然としながらもツッコむ。

「うわあ……気持ち悪……」

文雄は、ドン引きしながら見ているとムッチョが気付く。

「来たっちょ……秘密結社ディプレッションが……こっちっちょ！」

「おう！」

二人は、猛スピードでその場を去った。

「早！」

「追い付けない！」

「走り方もキモいデース」

ズシンズシンと地響きを鳴らしながらムッチョは走った。

秘密結社ディプレッションの敵を握りつぶす為に。