目撃証言70『単独撃破試験③』
ムッチョは、理解した。
「こいつ等……僕の魔力を感知しているっちょ! なるほど……音は振動によって空気に震えを感知する機能、それなら魔力放出による本来聞こえるはずのない音すら聞こえるという事っちょ!」
ムッチョの言葉に、パルナズ’が入っているラグナは睨み付ける。
『そんなことが分かったからってどうなの! 僕の感知からは逃げられないよ!』
しかし、強気な姿勢でパルナズ’はラグナと共に壁によじ登る。
「さて……こおおおおおっちょ」
大きく息を吐き出して、深く空気を吸い込む。
そして、ムッチョの体はピクリともしなくなった。
『フン! 諦めたのかい!! 情けないね!!』
パルナズ’は、ニタリと笑いながら、当然隙だらけのムッチョを襲い掛かる。
「そこっちょ」
そして、ラグナの顔面が吹き飛ぶ。
『な! 何だ!』
パルナズ’は、理解出来ないのか青ざめながら剥がされる顔面から剥き出しになる。
「そんな! どういう事! ラグナ!!」
「があああ!!」
しかし、ラグナは魔力がある限り再生をし続ける。
しかもパルナズ’によって調教されたラグナの能力は飛躍的に上がっている。
他のラグナとは育て方が違った。
「ラグナ! もう一度!!」
「がるうう!」
「させないっちょ」
ムッチョは、指に一点集中的に力と魔力を込めた。
そして、そのまま魔力を収束させた指をラグナの胸に突き刺す。
「これで終わりっちょ」
「フン! 僕のラグナがその程度で死ぬとでも!! いけ! ラグ……」
「ぐぐぐgっぐあああ! ぐるがあああ!」
しかし、ラグナの目は狂ったように動き、その場でもがき苦しむ。
「!! 何だ! 何が起こった!」
パルナズ’は、当然理解出来ずに唖然としていると、ラグナは正気を取り戻したのか、パルナズ’の方を見る。
「何だラグナ! 良かったよ! 心配したよ、さあ! 一緒に……」
「rがああああああああああああああああ!!」
「え?」
しかし、パルナズ’の想いは叶えられず、腕を食い千切られる。




