目撃証言66『マッスルマッスル』
「馬鹿野郎!」
琉鬼奈は、妖精の頬をぶん殴った。
「むっちょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
妖精は、涙を流しながら吹き飛ばされる。
「「!!」」
文雄も風美も、いきなりの行動に驚く。
「な! 何をするっちょ!」
「お前……それで良いのかよ……自分の国なんだろう……お前は一体何なんだ!」
「ぼ……僕はドキドキの国の王子の守護兵のムッチョだっちょ……でも僕等では歯が立たないからそれで……ドキドキの戦士にする為に王子を守る為のドキドキの戦士を……あの時の戦いで……君は凄く強いと分かったっちょ……だから」
「それを俺に任せるのか! それで良いのか! お前はそれで良いのか! お前は王子を守る為の守護兵だろ!」
「だから僕は……王子を守る為の……更には次期王女を守る為の守護魔法を……君に……」
「だからそれが間違いだって言ってんだろ! お前はプライドはないのか! お前の国だろ!! お前が守ろうという意思が無くてどうする! 力がないだと! そんなの言い訳だ! 俺は違う! 俺は前世で俺の国を命を賭して守ろうとした! 失敗はしたが! トラウマになったがそれでも後悔はない! やるだけのことはしたんだ! だがお前はどうだ! 人に! 俺にドキドキの戦士の戦士を押し付けて! 自分は高みの見物だと! そんな事がお前の為になると思っているのか! 俺は思わない! お前は自分で自分の国を守りたくないのか! そんな事で恥ずかしくないのか! そんな事をして祖国に顔向け出来るのか!!」
「そうだった……琉鬼奈は、男だとか女だとか前に前世王様だった! 誇り高い王様だった!」
「……熱血度スゲええ」
二人は、唖然としながらも見守る。
ムッチョは、はっとしたかのような顔で涙を流す。
「そうだったっちょ……僕は自分で守る事を……放棄したっちょ……でも……力のない僕がどうすれば……」
悔しそうにしながら俯くムッチョに、琉鬼奈は、提案する。
「俺が! お前を強くしてやる! お前が自信を持って祖国を守れるような立派な戦士にしてやる!」
「っちょ!」
ムッチョは、希望を持った目で琉鬼奈を見る。
「本当かっちょ……」
「ああ! 俺がお前を強くして秘密結社ディプレッションを倒せるようにしてやる!」
「あ! ありがとうっちょ!」
こうして、ムッチョは琉鬼奈の修行を受ける事となった。
二人は、自由研究のテーマが決まり、それを観察した。
当然夏休終了後叱られるのは決定ではあるが、そんな事は今の二人には関係ない。
そして、ムッチョは。
1週間後には、二頭身の姿から、七頭身へと変貌した。
その姿は、ムキムキのボディービルダーのようであった。
「ありがとうっちょ! これで秘密結社ディプレッションの奴等をこの拳で脳髄を叩き割れるっちょ!」
「おう! 頑張れよ! まずは試験に合格すれば戦士としての免許皆伝だ!」
「「何かネット民に遊ばれたマスコットキャラみたいになっとる……」」
二人は、ドン引きした。




