目撃証言65『選ばれし者』
文雄と風美は、いつものように買い物に向かう途中であった。
「兄さん……あれって……」
「あ、琉鬼奈だ……」
文雄は、ヤンキー少女を勝手に呼び捨てにしていた。
「って……あの宙に浮いているのって……」
風美は、ある者を見て気付いた。
((妖精だ……))
明らかにドキドキの国関係の妖精が、琉鬼奈の目の前にいた。
「君は選ばれたっちょ! これから君はドキドキの戦士になって貰うっちょ!」
「ああ?」
琉鬼奈は、睨み付けるように妖精を見る。
「っちょ! だっ大丈夫っちょ! 君は女の子だっちょ! 可愛いものだって似合うっちょ!」
まるでフォローでも入れるかのように妖精は余計な事を言う。
「おいおいおい、まさか前世男の奴にニチアサ系の妖精が話しかけるとは……」
「びっくりだね……てっきり凜さんかホリーさんかと思うけど……まさかヤンキー前世男の琉鬼奈さんに声を掛けるなんて……しかも才能あったんだ」
『っぷっぷっ!』
『琉鬼奈! 才能あるってさ!』
自信のインテンションウェポン、ガンとレットにも揶揄われる。
「君は自分が男っぽいのがコンプレックスだっちょ! 皆から男の様に扱われて凄く辛い環境を過ごしたっちょ! でももう大丈夫! 君は可愛いものを愛していいんんだっちょ!」
「……」
「やめろやめろ」
「殺されるぞ!」
二人は、ひやひやで琉鬼奈がブチギレないか見ていた。
すると、琉鬼奈は嗤いながら聞く。
「なあ、お前はどうして俺にドキドキの戦士にしたいんだ?」
「よくきいてくれったっちょ! 君に僕の国! ドキドキの国を救って欲しいっちょ! このままじゃドキドキの国は秘密結社ディプレッションに侵略されるっちょ!」
「ほう……お前はどうするんだ?」
「僕は君をサポートするっちょ! きっと君なら綺麗で可愛らしいドキドキの戦士になれるっちょ!」
琉鬼奈は、目を瞑って答える。




