目撃証言64『目撃成長』
良子は、泣きじゃくるプリッペを胸に仕舞う。
「え!! っと! もう帰りますね! 私の勘違いだったみたいですし!」
しかし、目を腫らしており、泣いた跡が明らかであった。
「?? そう? 何で泣いているのか知らないけど……まあ楽しめたのなら良かったよ」
「う……うん」
何処か微妙そうな表情をする良子は、そのまま加瀬家を出る。
「……帰ったか……まさかあの妖精を見れるとは思わなかった」
「私もだよ……突然だよね? なんでだろう……」
二人は不思議そうにしながら、美奈子に連絡をする。
『それは多分二人は成長しているんだと思いますよ? 合わせ鏡で別世界、もしくは私のボスの基地を見る、ラグナロクの本拠地を見る……多分ラグナも見えるようになったんじゃない? 目が慣れたんだとおもうよ?』
奈美子の推測に二人は納得する。
「なるほど……確かに暗闇の中でも目は慣れたりするしな」
「その感じで魔力も見えるようになったと……それにロリちゃんが別世界の大会に出てる事も見えてるしね」
文雄と風美は、納得後、奈美子に聞いた。
「ねえ? 俺が性犯罪扱いされてるのは何故?」
「私が兄さんに冒されている扱いっておかしくない?」
二人の疑問に、奈美子は答える。
『だって文雄さんキモいじゃん……それに家族として付き合える風美は、多分脅されていると勝手に同情されているんだと思うよ? 風美知らない? アンタに勝手な想いを寄せている、そして俺がお兄さんから守らなきゃ男子がいる事』
「! そんなのいたんだ……ああ、アイツかな? いつも後ろから付けてる」
『そうそう、そいつそいつ……ストーカーだよねえ』
「そうかあ……アイツ結構迷惑なんだよねえ……今回の事と言い……」
二人は愛想を着かす表情で、溜息を吐く。
「そんなに迷惑なの?」
「うん」
『迷惑』
二人の意見は合致した。




