目撃証言58『テレビを見る時は……』
「兄さんただいま、隣のロリさんが別世界に向かっちゃたみたいだよ!」
「あらら、ロリちゃんが……だから今テレビに映るのか……」
「え?」
風美は、文雄の見るテレビを見ると、そこには成長したロリが、グングニルを持って悍ましい化物と相対していた。
「何この大会! 怖い! 何か世界の最悪に立ち向かう主人公マンガのような化物と戦ってる!」
『でへへへへへ! おばえ! ぶっごろず! グチャグチャにしてズタズタにしてばら撒いてい遣る! そして犯してやる! でへへへへ!」
嬉しそうにしながら、近くの柱を鷲掴みにし、ロリに攻撃を仕掛ける。
「じねえええええええええええええ!」
柱を地面に叩きつける。
抉れる地面の破片が、辺りに飛び散り、壁や木、更には岩をも貫いていく。
しかし、そこにはロリの姿がなかった。
「だ! だんで!」
すると、柱に一人の人間が立っていて、そのまま走る様に首を斬る。
「gぶあああああ!」
化物は、血飛沫を上げながら、その場に倒れる。
しかし、次々と現れる化物達が遅り掛る。
「ぎがやしゃあああああああああああああ!!」
鋭い爪で襲い掛かり、ロリに斬り掛る。
しかし、ロリはグングニルでその爪を上手く逸らしてその勢いのまま一人、また一人の化け物を斬り殺して行く。
「だんだ! だんだんだああああ!!」
恐怖しながら、大量の化物達がグチャグチャにされていく中、息を切らさずに化物を狩り続ける。
よく見ると、ロリの腹筋は割れており、腕は筋肉質になっていた。
「っぷ! 汚い……」
血を吐き捨て、最後の一匹を殺そうとした。
「まあっまああ! まってくdれえ!! 俺の! 俺の命をたすけえてええ! しにたくだいよおおお! おれは……俺は今まで弱くてよおお……戦えなくてよおお……こんな俺をよおおお……殺さないでくれよおおお」
命乞いをする化物に対して、ロリは背を見せる。
「馬鹿め! しねええええええええええええええええぶば!!」
しかし、腕と顔面を潰される。
「だ……だず……じぢ」
涙目になりながら、再び命乞いする。
『ヒッヒッヒどうやらコイツで良さそうだ……弱くてもいい……強くてもいい……だがお前は弱い方が良いだろう……その方がやりがいがあるだろう?』
「ええ、コイツに決めるわ」
「え? なに……どういう事?」
『大会に出るには契約悪魔を手に入れないといけないんだよ……それに君は選ばれた』
「任せろ……私は勝つ……一人でな、お前はせいぜいマスコットでも勤めておけ」
「ええ……マスコット?」
「まだ始まってないんだ……大会」
「大会って……一体どんな大会」
退会の全容が全く掴めない二人であった。




