目撃証言50『とんでもねえことになって来た』
「風美……」
「兄さん……」
「今どういう状況?」
文雄は、メッセージにて風美と連絡を取り、美奈子の活躍を観戦しに来た。
「みっちゃん頑張ってるよ、今兄さんの目撃したラノベ系の機械生物を使って敬重さんを人質に取っている」
「敬重さん! あの!! まさかあの敬重さんが」
文雄は、壁から覗き見るとそこには噛み付かれている敬重の姿を見る。
「うおお! 本当だ……あの人死ぬの?」
「さあ? どうだろう……まだ使えそうだし放っておくんじゃない?」
二人は、ヒソヒソと話ながら見ている。
「そういえば兄さん……琉鬼奈さんより早く来れたみたいだけど……どうやったの?」
「え? ああ、アイツは空を飛んでこっちに来ようとしていたみたいだけど慣れていないんだろう? だが俺はいつもの道を覚えているから近道を通って来た、アイツはビルやら屋根やら歩きやすい道を通る事で近道を選んだつもりだが、残念ながらそれは悪手だ……ビルの高さ、機械生物の詳細な位置を確認するには魔力じゃなくて電気の感知……もしくは進む道の確認が必要だ……そう考えると俺はお前が何処にいるかさえ分かればどう行けばいいかがすぐに思い付くし頭に浮かぶ……だから早く辿り着いた、それだけだ」
「なるほど……今のメカラグナは魔力ではなくて電気……確かみっちゃんの話では電気系統を操る……魔力がちゃんと通るって事は電気を通せばそれを軸に動かせる……ある意味異世界でもこの世界でも仕組みは同じ……その仕組みを利用すればとみっちゃんは思った訳か……」
「つまりはアイツ等よりみっちゃんの方が今は優勢だよ……果たしてどこまで正義を貫けるか……そして勝利条件は琉鬼奈ちゃんが辿り着くだ……流石に元異世界の人間の対抗策までは思い付いていないと思うよ?」
「流石兄さん……」
風美は、文雄の考察を聞いて、みっちゃんを観察する。
「フン」
「兄さん……私が思うに……みっちゃんそこも既に対策済みじゃない?」
「なぬ! マジで!」
「うん……雰囲気がそれだよ」
「こわアイツ」
文雄は、風美の言葉を聞いて、美奈子がどんな手に出るのか期待する。
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「糞! どこ行った!」
琉鬼奈は、文雄の考えた通り、空から位置を特定しようとしていた。
しかし、見慣れない景色、更に屋根やビル、遮蔽物のせいで完全な位置の特定が難しかった。
更に、魔力を感知しようとしても、何故かその位置を特定できない。
「まさか……異世界人の手口じゃない?」
そう気づいた瞬間、琉鬼奈は頭を抱える。
「困ったぞ……電気での動きは感知出来ん……どうすれば」
『いやああああああああああああああああああ!!』
しかし、悲鳴が近くで聞こえ始める。
「!! あそこか!」




