目撃証言45『メカメカメカアアア!!』
バルバーズ爺は、ケタケタと嗤いながらある部屋へと向かった。
「おお、爺さんなんか秘策でもあんのかな?」
文雄が覗いている事も知らず。
「ッヒッヒッヒこれを見れば奴等もびびるじゃろうて……」
そして、部屋を開けるとやたらとメカメカとした巨大ラグナがいた。
「ヒャアハハハハハ! これじょ! ワシが長年かけて作り上げた! 魔導機械生物! メカラグナじゃ!」
そんな喜ぶ姿を見た文雄は、少しガッカリとした。
「ええ……もうちょっと爺さんを使った何かであって欲しかった……別にお前じゃなくてもいいじゃん」
「ひゃはははは! ワシは天才じゃ! 魔導レーザー! 魔導サーチ! 魔導エクスプロージョン! そして更に暴走モードにすれば全てを破壊し無に帰す程の力を解放させる!!」
「へえ……どっかで聞いたような機能搭載だ」
1人で盛り上がっている爺さんにうんざりしながら歯磨きを終えた文雄は、眠そうに部屋に戻る。
「風美……開いたぞ」
「あー」
覇気のない返事に、文雄は首を傾げる。
「何見てるの?」
「みっちゃんが今作戦会議しているの」
「ええ! そっちの方が面白そうじゃん!」
「兄さんはどうだったの?」
「爺さんが機械頼りでこの世界を破壊しようとしてる」
「ふーん……」
二人は、少し考えるとみっちゃんにSNSでメッセージを送った。
「!! ……なるほど」
「どうしたの? レイディー」
「良い事思い付きました」
「おお! すげええぜ! 命令するだけ命令して何も考えず失敗しても成功しても文句ばかりの髑髏野郎とは全然違うぜ!」
「フ、私も……貴様の指示であれば従うという気分だ」
「レイディー! 私も協力するよ! 何でも言っておくれ!」
圧倒的カリスマ性を魅せつけて、既にボスよりも信頼を受けていた。
「すげえ、マジでこっちの方が面白いじゃん」
「ふむ……今のメッセで何を思い付いたのか」
「ぜってえすげえぜ!」
語彙力がないレベルの、ワクワクが二人を襲っていた。
「ひゃあははははあ!! ついでにこれも連れて行くか! これはワシの最高傑作! 空飛ぶメカラグナじゃあ!」
「はいはい」
「分かりましたよー」
聞こえてくる内容全てを、みっちゃんにメッセし、二人は生返事で爺の情報を届けた。