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目撃証言41『病院に行ったんだよね?』

風美は、唖然とした。


「兄さん……病院に……行ったんだよね? 熱中症になったかもしれないから」

「そうだ……べっほ! がほh!!」


血を噴き出しながら、ボッコボコにされた文雄が、目の前で立っていた。

目と頬は、青痣で腫れ上がり、片腕を押さえながら、泣きそうになっていた。


「え? 何があったの?」

「ちゃんと診察……してくれないから……良子ちゃん? が終わったの……見計らって……乱入したら……警備員に捕まって……こうなりました……」

「うわあ……」

「今のはどっちに引いたんだ……風美……」

「どっちも」


青ざめながら、風美は文雄を取り敢えず部屋に入れる。


「まあ兄さんがいつもそんな感じなのは知ってるけど……明日のバイト大丈夫なの?」

「知らん……取り敢えずみっちゃんに電話してみる……」


携帯を取り出して、文雄は美奈子に、明日のバイトの件で連絡を入れた。


『ふーん……そんな事があったんだ……待ってて』


説明後、突如電話を切られてしまい、文雄は唖然とする。


「え? なに?? 待つ? 何を?」

「さあ? ヴィランになったからなんかしてくれんじゃない?」


風美は、ゲームをしながら文雄と美奈子が来るのを待った。

すると、チャイムが鳴り響いた。

文雄は、フラフラになりながらドアを開ける。

すると、美奈子が目の前に立っていた。


「暑いから中に入れて」

「うす」


そして、文雄は美奈子を部屋へと通す。


そして、美奈子は袋から液体の入ったフラスコを取り出した。


「何それ? 薬品?」

「世界で一番美しい女性キレーさんが見た目だけは何とかしてくれる薬だよ! 痛みはそのままで体を正常に戻してくれるんだって! 凄いよね! 痛くても体は綺麗に動くから! 動きも美の内だから! 後は痛みさえ我慢すれば大丈夫って薬! 女はね、美の為なら寒くても暑くても痛くても苦しくても気合で我慢するんだよ! さ! お兄さんも!」

「!! ちょ! 治すなら痛みも消して!」

「そんな効能はない! さ!」

「いや! ひゃめ! なら……休……」

「だーめ! 明日も人が多いんだから! 痛み我慢して働きな!」

「いいやあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」


激痛の中、体だけは元通りになった文雄。

次の日のバイトは、激痛に悶えながらも、涙目になりながら、客にバレないように粘りながら働いた。


だが、客の誰も、文雄の表情など気にも留めてなかった。



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