目撃証言33『作戦前』
「みっちゃん……今日決行って言ってたけど……私に何を見せたいんだろう……元木さんがどうしても行動してしまうような事をすればいいからそれを見ておけって……」
風美は、文雄がまさに炎天下の中で、放置されていた時、美奈子とドキドキの戦士を打ち倒す話をしていた。
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「まずね……元木さんと西連寺会長が仲良くなった上、彼女を認め始めた事こそが勝ち目なんだよ」
「どういう事?」
風美は、首を傾げながら美奈子に問う。
「明日の夕方になれば分かるよ……その為に風美……敬重さんが行動する時間を知ってる?」
「え?? 敬重さん……まあ知ってるけど……8時10分ぐらいと15時から16時ぐらいだけど……」
「風美、前に言ってたよね……最近敬重さんが気に入っている小学生がいるって」
「ああ、兄さんが言うにはよくこの辺を通る子が3人程……」
「それだ!」
「ええっと……」
「まあ見てて」
美奈子の言葉の意味が分からないまま、取り敢えず、納得する形になった。
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結局どうするのかは、これから分かる。
「今日ヨウちゃん家で遊ぼう!」
「うん! 良いよ!」
「私おやつ持って行くね!」
「あ、いた……」
風美は、恐らく小学生が関わると思っている為、見える方向で陣取っていると。
「デュフフフ、今日もきゃわいいでござるな……奈々ちゃんは……吾輩の嫁」
「……」
地味に見える場所から、敬重さんが覗いていた。
敬重さんは、何処からともなく現れて、8時10分と15時~16時の間、誰にも頼まれていないのにも関わらず、見守りサービスをしてくれている親切な無職の45歳オッサンである。
最近は、園山奈々ちゃんを徹底的に見守りをしており、奈々ちゃんの部屋の壁には、ビッシリと盗聴器を仕掛けており、今では音のみで、奈々ちゃんが何をしているか完全把握出来るというまさに神技である。
最早、奈々ちゃんの部屋は、敬重さんの聖域化していた。
「一体……何が始まるというのだ……」
風美は、ワクワクが止まらなかった。