目撃証言29『謎の二人は一体』
PM9:00
文雄は、何とか体に縛られているロープを、体を揺さぶり続ける事によって、何とか緩めて解く事が出来た。
「糞ガアアあ……よくも……よくもよくもよくも!!!! なんてことをしやがる!! なんてひでえ事しやがる!! 俺が死んだらどうするつもりだ!」
(そうだ……俺が死んで良いわけがない! 俺が死なされて許されるわけがない! 俺だって人権ある人間だ! 人権があるって事は殺されて言い訳がない! 人と同じという事はそれだけ俺にだって価値があるんだ! 人は生まれながらにして価値あるべく生まれた! そして俺は人のあらゆる事を目撃する体質だってある! つまるところ俺は選ばれているんだ! 何の才能もねえ呆け共とはちっげええんだよお!! 許さねえ! いつか地獄見せてyるうう!!」
怒り狂ったように、木に拳を叩き付ける。
「っでええええ!! 糞ガアアあ!!! なんあんだよ!!!」
そして、殴った痛みで更に怒りが溜まった。
「とにかく……今日はもう帰る!! 俺は寝たいんだああ!!」
そして、日中暑い中、汗だくの状態でフラフラと歩いていると、轟音が聞こえた。
「んんだよお!!」
五月蠅くて、更に怒りが増した文雄は、文句を言いにその場まで走った。
すると、そこには先程の貫禄あるおじさん二人組が、恵斗とセシリア、更に加わったのか、凜と流鬼奈が共に戦っていた。
「さっさとデュランを渡せ! 貴様なんかより有効に使わせて貰う!」
「そうだ! それさえあれば我々がこの世界を支配出来るのだからな!」
「糞! 貴様等も前の世界を襲ったラグナロクの一員だな!」
「?? は?」
「何だコイツ?」
恵斗が、二人の脅しに屈せず、反発する。
しかし、二人は顔を見合わせて眉間に皺を寄せる。
「ああ……あったな……あの組織……そいつらのゲートを通ったのは確かだが」
「我々はあの組織とは無関係だ……勝手に決めつけてくれるな」
「はあ! じゃあ何なんだお前等は!!」
「恵斗! 私も何処か見た事がありまーす! でもどこでかは忘れてしまったデース!」
すると、ボコウンが呆れたように鼻で嗤う。
「心外だな……忘れるだなんて……そう思わないか? デコウス」
「そうだな……ボコウン……まあいいさ……おい! ガキ! 持ってこい」
「はい……承知いたしました」
すると、先程恵斗とセシリアが声を掛けていた少女が、錆びだらけの斧と鎌を持って来た。
「インテンションウェポン! アークス!!」
「インテンションウェポン! セコー!!」
『待ってましたよ! デコウス』
『やっと出番なんだね! ボコウン!!』
「インテンションウェポン使い……でもあの武器二つは確か……」
凜も何処か見覚えがあったかのような素振りを見せる。