目撃証言27『外国人美少女とデートしよう!!③』
文雄は、気付かれないようにアニメショップから立ち去ろうとした。
そして、それは誰も気にも留めなかった。
(そうか……そもそも俺モブとしてどころか特に気にしてもされていない……都合の良い虐め大賞でしか……うん……普通に立ち去れる)
少し寂しそうにしながらも、恵斗とセシリアに対し、嫉妬の目線を送りながら店を出た。
「うん? 何か視線が痛かった……ような」
「どうしましたか?」
「ううん、気のせいだったよ!」
(どっかで見た様な)
(なんだアイツ? どうせ碌な人生送ってない様な奴だろうな……)
そもそも、認知されてもなかった。
文雄は、店を出て本日手に入れた戦利品を確かめた。
「むふふふ……素晴らしい……こんな! 良い! とても良き!!」
そこまで大きな声を上げず、戦利品を眺めながらニタニタ嗤っていると、それを冷たい目線を送る主婦達がいた。
「本当に気色悪い……ここは公共の場よ」
「ゴミがいるべき場所じゃないのに……仕方ないわ……優ちゃん、あんなゴミがいるからどこか別の場所で遊びましょう」
「うん! 良いよ!!」
「良い子ね! あんなゴミになっちゃダメよ! あれは人を不幸にする屑だから」
「分かった! 僕! あんなゴミみたいな惨めな人間にならないように頑張るね!」
「あら! 偉いわね!」
「じゃあね! 芽以ちゃん!」
「うん……」
主婦達は、子供達を連れてそそくさと公園を出た。
1人の少女を残して。
「ぐへへへへ」
「……」
少女は、文雄と同じく残っている。
すると、二人の男女に声を掛けられる。
「君? 一人かい?」
「お父さんとお母さんはいますかー?」
「えっと……お兄ちゃんとお姉ちゃん達は?」
「ごめんね! 俺の名前は奥山恵斗! よろしくね!」
「私はセシリア・ホリーナと申しまーす! 以後よろしくデース!!」
二人は、少女に挨拶をして居る瞬間を見て、文雄は再び嫌そうな目で見る。
(せっかく離れたのに……運がない……やれやれ……こっちが離れてやりますか)
そして、二人が少女に夢中になっている間に、文雄は草むらの中へと入って行く。
すると、見た事のないオッサン二人は、少女と恵斗、セシリアを凝視していた。
「フフフフ……奴等声を掛けたぞ……」
「愚か者共め……そいつは我々が送った先行スパイだ……お前等のようなお人よしなら声を掛けると思っていたぞ!」
「うわ!! 変態だ!」
「!! 貴様は! なんだ!!」
「いつから聞いていた!」
「え?」
文雄は、思わずケタケタと嗤う二人のオッサンを見て、反射的にそんな言葉が頭に浮かび、そのまま口に出てしまった。
しかし、よく考えると明らかに、変態とは思えない様な話をしていた事から、ただの変態ではなく、ラグナ等を操る、異世界を崩壊させた組織の者であると判断した。
しかし、時は既に遅く、文雄は縛られてしまった。