目撃証言16『時は来た』
美奈子は風美と文雄が目撃したラノベ展開とニチアサ展開全て情報を共有した。
「なるほどね、前世の記憶にラグナロク、そしてさっきの魔獣ラグナと仮面の男、今戦っているであろうクライアン……そして、ドキドキの戦士、元木さんと西蓮寺さん、妖精、ブラックナイトマスク、秘密結社ディプレッションにダークネスドキドキの戦士、ダークネスアイシャドウか……思ったより面白い状況だ」
美奈子は、楽しそうにしながらスキップする。
その姿を見て、風美は苦笑しながら見つめる。
「めっちゃご機嫌じゃん、みっちゃん」
「そう? そうかも」
自覚がないのか、美奈子はニヤついたまま、風美に答える。
そのまま、ポッリルを付けていくと、さきほど先程のプールサイドへと到着したわ。
当然、先程とは状況は変わっており、ドキドキの戦士とディプレッション三幹部との戦いは始まっていた。
「はああ!!」
「くっ!」
霧雨は、ダークネスアイシャドウのシャドウソードを躱しながら、拳を振るう。
「貴方まだ武器も出せないようね?」
「私だって……私だって……」
しかし、明らかに冷静さを失いながらダークネスアイシャドウと対峙している。
「ブルーネイル!」
「余所見をしている場合か?」
「くっ!!」
良子が、心配そうに霧雨を見るが、その隙を突き、攻撃を仕掛ける。
『いくッル!!』
「!! お前は! どうして此処に!」
いきなりのポッリルの声に、キレーは意識を向ける。
『僕だってドキドキの国の発明家の息子ッル! あんな鍵ぐらいならすぐに外して脱出出来るッル!』
ポッリルは、息巻きながらも、先程の割れた水晶に魔力を注ぎ、それをダークネスアイシャドウに投げつけた。
「え?」
「なっ! それは! いや無駄よ! それはもう割れて使えないはずよ!」
ダークネスアイシャドウは、割れた水晶を見てキョトンとし、キレーは焦りを見せるが、すぐに心を落ち着けさせて、戦闘に集中する。
しかし、割れた水晶は空中で止まり、突如光を放つ。
そしてダークネスアイシャドウから黒い靄の様なものを吸い取り始める。
「ぐっあっああああ!!」
「な! 不味い! 思い出しなさい! 貴方の恋心を裏切ったあの憎き家庭教師を! 貴方から愛する者を奪ったあの女を!!」
キレーは、水晶を翳して黒い靄をダークネスアイシャドウに注ぎ込む。
「うぐ! あが! あがああ!!」
「止めろ!! させはしないわ!!!」
霧雨は、キレーを妨害する為、襲い掛かる。
「フン……時間だ」
すると、先程まで全く攻撃する様子を見せなかったネチネーは、突如霧雨に粘液で掴む。
「っく!! 貴様……」
「言ったろ? 私は時間になるまでは絶対に戦線に加わらないと……今がその時だ!!」
「ありがとう……って言いたいけど!! 遅すぎんのよ!! しかも良いタイミングなのが余計に腹立つ!! ダークネスファイアー!」
キレーは、少し苛立ちを覚えながらもネチネーの粘液を利用して、魔法を打ち込む。