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episode2 ばあちゃんの味と2人の空間


「はぁあぁ……腰抜けちゃった……」

ホッとして、安堵した表情を出した。

国民的アイドルが《アイドル》としてではなく、《一生徒》として壇上に上がり、小等部の新入生約200人以上を前に、この学園【森永嶺東学園】の代表としてスピーチをする。それは計り知れないプレッシャーがあるだろう。


「腰を抜かすって、お前はばあちゃんか?

ほら、手出して引っ張るから」

「なによ…こっちの気も知らないで」

「蜜柑…お前のその顔、相当プレッシャー感じて昨日寝れなかっただろ?」

と聞くと、ギクッと肩が上がる。

あからさまな反応に俺はスクリと笑った。

「ってそうそう、ほらばあちゃんからの朝ご飯!」

「わぁ、おばあちゃんにありがとうって伝えといて!

直接伝えたいけど、ちょっと会えそうになくて」

「大丈夫大丈夫、ばあちゃんも分かってるから」

蜜柑は会いたそうな表情だった。

最近はアイドルの仕事が忙しのもあり会えていないからだ。今度ビデオ通話でもして会わせるか。


横目にウキウキとした表情で弁当を開ける蜜柑

「え!きんぴらに卵焼き、おにぎり二つも!

はぁ…何かホッとしてお腹ペコペコ。いただきます!」

良かった。いつもの表情に戻った蜜柑を見て俺もホッとする。

「ホントに良い表情で食べるよな。蜜柑」

「かわひひってほと〜?」とモグモグと食べながら答える。

「うん。可愛いよ」

そう言われると蜜柑は不意をつかれたように「え!??」

と驚き顔を露にした。

別に照れさせたかった訳ではない、だって実際に可愛いんだから。程よく伸びたセミロングに目が合った人を吸い込む様な大きな瞳。清涼系のCMが良く似合う透明度もある。ホントに可愛いんだ。

「なぁ、蜜柑はさぁこの後の在校生代表挨拶をしたら仕事に戻るの?」と聞く。

最近は新楽曲の収録とMV撮影が連日あったらしく、少し心配になって聞いてみた。

「この後は午後の最後の授業まで居るよ。どうしたの急に?もしかして《心配》してくれたの?」

ニヤニヤ顔で聞いてくる蜜柑に「心配した俺がバカだったよ!」と投げると途端に蜜柑の笑い声が生まれた。


すると突然ハッとした顔をして

「あ!いけない!もう時間ギリギリじゃん!確か1回教室でホームルームだよね!?教室戻ろう!!」

危ないそうだった!蜜柑に言われお部当を片付け足早に教室に向かう。

今の蜜柑の顔には朝にあった緊張は残って居なかった。

《ばあちゃんのご飯》のお陰なのか《一緒に話せた》からなのか俺には分からない。多分どっちか1つじゃない、2つがあったから今のあいつの…どこかホッとして安心した表情の蜜柑にできたと俺は思いたい。




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