夜
「大丈夫ですか?」
「ん?あ、うん。」
俺は初めなんのことを言っているのか分からなかった。
「あの後どうなったの?」
「私も負傷しましたし、動けなかったんで、リルが治癒魔法をかけてもらいました。音でグランさんが出てきたので事の顛末を報告したって感じですかね。動けなくなるくらいの怪我を負ったのは近衛騎士団に5年前に入団してから初めてです。」
「近衛騎士団?」
「あっ、今のは内緒にしといてください。少し口を滑らしました。」
「お父さんとかお母さんは知ってるの?」
「ミルさんは知ってますよ。昨日の反応だと来るまで知らなかったようですが、グラン様も知っているかと。」
「だったらとりあえず言わなくていいよ。」
「明日は、朝の練習は中止しましょう。身体も回復しきってるわけでは無いですし。」
「わかった。1つ教えて欲しいことがあるんだけど。」
「答えられることであればもちろん。」
「僕が最後に使った加速、なにか名前がついてるの?なんか身体強化みたいなやつ。」
「知らなかったんですか……。あれは、部分身体強化を発展させた、ブースト技術というやつです。学校で習うことですけど、それでも全員ができる訳では無いです。あれは、出力が強すぎましたけどね。」
「あはは。クリスさんも使えるよね?」
「はい。でも、最後の攻防で、決めようとした時、身体強化は使いましたが、さすがに直ぐにブーストすることは間に合いませんでした。強かったですよ。」
「ありがと。」
と言って恥ずかしくなり、布団に潜った。
「おやすみ。」
「おやすみなさい。」
と言って、部屋を出ていった。