クリスとの訓練・続
「ここまで耐えるとは思ってなかった。アドバイスとしてはずっと力入れすぎだから、当たる時に力入れるといいよ。難しいからあんまりやってる人いないけど、少しは持つはずだよ。少し休憩しようか。」
と言って、外に置いてある椅子に座る。
「ねね、あの綺麗なドラゴンなに?」
「使役召喚で、召喚されたリルだよ。」
「リルちゃん、おいで」
リルが跳んで、滑空しながらきた。
「くぅー。」
クリスはリルを撫でる。
…………リルはいつの間にか寝ていた。寝るほど撫でられるのが落ち着いたらしい。
「もう一本だけやろうか。」
「うん。」
同じように受け止める展開が続き、50回くらい続いたあと、バックステップで、クリスが間合いを取った。
「いくよ?」
俺は手加減してくれてるのは知っているが死ぬと思った。咄嗟に、大振りなクリスの横を抜けるため、右足に魔力を貯める、部分強化というやつだ。思いっきり力を入れ脇腹を狙う。ドスっという鈍い音がした。そのまま俺は壁に追突する。
クリスはまさか、突っ込んでくるとは思わず、もっというと、あそこまでの速さで突っ込んでくるとは思わず、避けるのも、防ぐのも出来なかった。そんな気持ちだと死ぬと自分が言ったばかりなのにと、恥ずかしくなった。痛みで力が抜け、膝を着いた。
シートが家の柵にぶつかった音で、リルは起き、グランは急いででてきた。
リルはシードを咥えて、クリスの近くへよせ、まとめて治癒魔法をかける。
グランはその光景に(特に、クリスが膝をついている光景に)驚き、固まりってしまって動けなかった。それほどにまでクリスは強かった。訓練でも膝を着くまでの怪我はなく、第2席は実力以外の別の功績で、第1席は、強いが、それほどの実力差もなく、そこまでの怪我を負うことも無かったと、聞いているのだ。
リルが2人の回復をし終えたあと、グランはその硬直から回復した。
「何があった。」
「油断していると、死ぬぞと、先程言ったのですが、本気の殺気と、本気の振りで上の実力というものを間接的に教えようとしたんですが、自分が油断して、部分身体強化のブースト技術で脇腹に1本入れられました。多分シードくんの木剣にヒビが入ってるのではないでしょうか。多分、咄嗟にやっただけで、使いこなしてるわけではないので、そのまま壁にぶつかり、形的には、相打ちという形になりました。その後見ていた通りに、リルちゃんに救護されました。」
「そうか。歩けるか?」
「はい。」
「とりあえず今日は、部屋に戻って休め。シードは俺が部屋に連れていく。」
「分かりました。」