クリスが来てから
「おはよう、クリス。」
「おはようございます。シード様。」
「シードでいいよ。」
「では、せめて、シード君で。」
「わかったよ。食堂行こ。」
「おはようございます。」
「おはよう。」
「寝れたか?」
とミル、グランが言う。
「はい。」
扉があいた。リルが来たようだ。ペコと頭を下げる。俺はいつものように厨房に行き、リル用のブロックの焼いた肉を手に戻ってくる。
「はい、リル。」
[誰?]
「クリスさんだってさ。」
[強い。]
「お父さんも驚いてた。そんなに強いの?」
[本人に聞いてみれば?]
「時間があったら聞いてみる。」
俺は会話をやめて、椅子に座る。
「クリスさんもおいでよ。」
「私はさすがにあとから食べますよ。」
「お父さん、いいよね。」
「ああ、いいぞ。」
「だってさ。」
「では、失礼します。」
今日の朝ごはんは、スープとパン、それと新鮮な果物だ。見た目は、リルの方が豪華だ。
俺は食べ終わり、手を合わせる。意味は多少違うのだが、食べ終わりに手を合わせるのは日本と同じようだ。食べ始めは何もしない。
「クリスさん、外行こ?」
「あっ、はい。」
と一礼して、俺に着いてくる。
「木剣ある?」
「持ってきました。」
「じゃあ準備運動するから、クリスさんもしといて?」
「分かりました。」
まだ少し硬いようだ。
俺は、素振りと、リルの地獄の体力トレーニングを40分位で終え、クリスの元へ行く。
「クリスさんは準備終わった?」
「いつでも大丈夫よ。」
「じゃあ、相手して欲しい。」
「じゃあ、おいで?」
と許可?が出たので、構える。
そして身体強化をかける。
身体強化をかけた瞬間、クリスの顔つきが変わった。
「いきます!」
俺は先手を譲ってもらったので、近づき剣を振り下ろす。クリスはそれを見てバックステップで避ける。全く違う展開になった。俺はそこでどうしようかと悩んだ。その瞬間。首に剣を当てられた。
「あっ、参りました。」
「さすがにぼーっとし過ぎかな。」
「全く避けられることを想定してませんでした。」
俺は剣道でも、グランとの立ち会いでも、初手は受けているように感じていた。すっかり失念していたのだ。
「想定してなかったじゃ済まないよー。真剣だったら死んでるよ。」
と、口調とは違い、言ってることはキツいが何一つ間違っていない。
「はい。」
「じゃあもう1回。構えて。」
構えた瞬間。クリスが目の前に現れる。剣は速いがギリギリ取れるか取れない位のスピードで、斬りかかってくる。俺は剣で合わせ、受け止める。そのまま数十撃続いた。俺はついに、剣を落とした。そして、突きつけられて、降参した。