父との訓練
「シード、やるぞ」
「はい。」
「とりあえず、俺に打ち込んでこい。指導はそれを見てからだな。リルに教えてもらったこともあるみたいだしな。」
「いきます!」
俺は宣言をして、魔力循環させる。俺は正眼の構えから振り上げ走り近づき斜め上から切りかかる。その剣を防がれ弾かれそうになる。このまま耐えられないと思った俺は、剣を滑らしながら身体を右回りに回転させ回り込む。それと同時に脇腹に切りかかる。グランは一瞬顔を顰め、右後方に跳び、剣先を間に突っ込み、防ぐ。そのままグランの剣は首元に当てられた。
「防がれるとは思わなかった。」
「それを言うなら俺だって身体強化使わさせるとは思わなかったぞ。昨日の素振りを見ると手首に力を入れて振ってるのかと思ったがそんなことはなかったか。」
「それはリルに散々言われたからね。」
「まだ、教えなければいけないことは沢山あるが、自分で相手から盗むことも重要だ。それと、最低限のことはできてるからこれからは実戦練習をしよう。」
「ずっと?」
「いや、言い方が悪かったか。素振りや体力トレーニングはする。メニューは今までよりいいものはないと思うからそれでいい。」と半分苦笑しながら言う。
「実戦練習は俺もやることがあるから、家庭教師を招こうと思う。なにか言いたいことはあるか?」
「大丈夫。今日はお父さんがやってくれるんだよね。」
「ああ、そうだ。」
「じゃあもう一本やろ。」
お互い正眼の構えだ。
「今度は俺からいこうか。」
俺と同じように近づき振り下ろす。鍔迫り合いになる。グランはそのまま、力ずくで押し、吹っ飛ばす。それに追随して振り下ろしてきた。不安定な体勢で受け止められるわけはなく、そのまま剣をぶっ飛ばされ、俺は降参した。
「さすがに力ずくには弱いか。でも、なにかやれることはあるはずだ。考えてやってみろ。俺はもう一度同じ感じでいく。」
と言って構えた。
それに倣って俺も構える。
言った通りに同じように切りかかってきた。俺はそれに合わせて剣を振り上げ振り下ろす。狙いは手首だ。
「おっ」
グランは少し驚いたように声を上げる。俺はその受けを見ずに、剣を斜めに倒し横脇を狙う。俺は、決まったと思った。
グランは右回転し、剣を当て鍔迫り合いに持ち込もうとする。俺は、それだとさっきと同じになると思って、流そうとする。
グランはニヤッと笑って足を払ってきた。俺は何が起こったか分からず倒れる。そこに剣を当てられた。
「参りました。」
「ははは、惜しかったな。考えはいいと思うぞ。でもこういう手もあることを覚えときなさい。」
「はい。」
「もうすぐ昼食の時間だ。今日は上がろうか。」