5歳となって
大変お待たせいたしました。
急な休みとなってしまい申し訳ありません。
たまにこのようなことがあるかもしれませんが御容赦ください。
半年間の間、朝から木刀を振ってきた。だからその分の握力とか、腕力がついてきた。俺は先日何を思ったか、素振りの時間に魔力訓練ができるのではないかと思いやったのだ。そうしたら身体がスムーズに動き、力強く触れるようになった。リルが言うことにはそっちの方が訓練としての効果は高いらしい。
明日は父による1年間の成果確認である。1年間で1度もあの素振りを出来なかったので1度も見てもらわなかったのだ。
グランはもちろん本気で出来るわけないと思っている。なぜなら魔法による身体強化はしなかったもののそれ以外は本気でやったのだった。辺境伯である父が。
「シード、よし、本気でやってみろ。」
とグランが言う。
その声を聞いてミルも外に出てきた。リルは俺を見つめている。
「はい。」
俺は本気でと言われたので魔力訓練の時と同様に(これを魔力循環と名付けた。)自分の魔力を循環させる。ミルとグランはこれに気づいたようだが何も言わない。腰の回転と手首を柔らかくすることを意識して振り下ろす。
「ハァッ!」
グランの素振りまではいかないが周囲の人が風を感じるくらいには鋭い素振りが放たれた。
「シード、身体強化まで使えたのか?」
「身体強化?魔力を全身に回すやつ?」
「そうそれだ。それはひとまずいいとして、よくここまでできるようになったな。正直言うと初めからあの素振りは出来ないと思っていた。よく頑張ったな。明日から仕事が少ない時だけになるが一緒に訓練をしようか。」
「シード、身体強化があそこまでできるなら魔法も勉強してみる?」とミルが聞いてきた。
「お母さん、やりたい。」
「じゃあ午前中は剣の練習。午後は魔法の勉強ね。」
「はーい。」
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これはその日の夜の出来事。
「グラン、今日の朝は驚いたわね。」
「あれは、リルが教えたのか?」
「追いかけっこしたり、素振りを話しながらやってたからそういうことじゃないかしら。まぁ、追いかけっこと言ったって普通ではなかったけど。」
「ん?どういうことだ?」
「んーと。簡単に言うとシードがリルちゃんに追突されて吹っ飛んでいったって感じかな。治癒系統の魔法を使ってたみたいだから何も言わなかったけど。」
「そりゃそんなことしてたら体力つくか。」
「それで明日からのことだけど、私は当分、理論系統のことを教えようと思うわ。」
「ああ、わかった。」