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幼なじみに告白したい!  作者: 向井数人
第一章
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第8話 連休の予定

 その後は、四人とも自分の自転車に乗り、全員の帰り道の途中にあるメクドナルドに来ており、四人掛けの席に座っていた。

 因みに席は、朝日と優人が、それぞれ机を挟んだ奥の席に向かい合って座り。優人の隣に宏樹が、朝日の隣に鈴華が座っていた。

 そして、優人は朝日から。宏樹は鈴華から、この後の予定を聞いていた。

「ゴールデンウィークに、俺たち四人で遊びたいから、この場で予定を決めようって事か。俺はゴールデンウィーク中はずっと暇だから良いんだが、優人は大丈夫なのか?」

 宏樹は、優人に向かってそう質問した。すると、

「うん、優人は休日は、ずっと家に引きこもってるから大丈夫だよ!」

「何でお前が、俺の予定を勝手に決めてるんだよ」

 優人より先に質問に答えた朝日に、優人はそう突っ込んだ。

「だって優人、予定がない日はいつも家に籠って、ゲームをしてるじゃない。それとも、今年は珍しく何か予定があるの?」

「……いや、別に何もないが」

「ほらやっぱり、でも良かったね。これで今年は楽しい連休を過ごせるよ」

「まあ、そうだな。ありがとうございます、藤宮さん」

 優人はそう言って、反対側の右隣に座っている鈴華に頭を下げた。すると、

「ねえ、何で鈴華ちゃんにだけお礼を言うのよ。この案は私たち二人で考えたんだから、私にもお礼を言ってよ」

 朝日は、心底不満そうな表情でそう言った。

「ああ、そうなのか。そりゃあどうも」

「……鈴華ちゃんと比べて、私に対する対応雑過ぎない?」

「いや、お前にはこれくらいで十分だろ」

「何でよ!」

 そんな風に、二人が言い争いを始めると。

「相変わらず仲がいいわね。貴方たち、喧嘩とかした事ないでしょう?」

「今、絶賛喧嘩中なんだけど」

 鈴華の言葉を聞いて、朝日はそう言い返したが。

「喧嘩は喧嘩でも、貴方たちのやっているのは痴話喧嘩って言うの。寧ろ仲の良さを見せつけられてるみたいで、独り身には辛いわ」

 鈴華がそう言うと。

「そうだな。というか去年は一年間、こんなのをずっと見せつけられてきたんだから、今思うとやばかったな」

 黙って成り行きを見守っていた宏樹も、鈴華に続いてそんな事を言い出した。

「そうね。そう考えると、今年は二人のクラスが分かれて、正解だったのかもしれないわね。もし、今年もクラスが一緒で、去年以上のモノを見せられる事になるんなら、学校に胃薬を持って行く事になったかもしれないわ」

「違いねえな」

 そんな風に、鈴華と宏樹の二人がかりで、幼なじみ二人の間柄をからかっていると。

「もう、私たちの事はもういいでしょ! それよりも、本題に戻ろうよ!」

 さすがの朝日も、ここまで言われると恥ずかしかったのか、声を大きくいてそんな事を言った。

「ふふ、それもそうね」

 散々二人をからかって満足したのか、鈴華は笑顔でそう言った。しかし、

「ただ、予定を話す前に。取りあえず、私なりに大雑把に流れを決めてみたから、まずはそれを聞いてくれないかしら。一から決めるより、ある程度大筋は決まってた方が、話が早く進むと思うから」

 鈴華はそんな事を言った。すると、

「うん、分かった」

「了解」

「お願いします」

 朝日、宏樹、優人の順でそう返事をした。

「ありがとう。それと、反対の意見があったら遠慮なく言ってね。私には都合がいい予定でも、他の人がどう思うのかは分からないから」

 鈴華はそう前置きに、話し始めた。

「まず始めに。知っていると思うけど、今年のゴールデンウィークは五日間あるわ。そして、去年の事も考えると、宿題は五教科分、それなりの量が出されるはずよ」

「まあ、そうなるだろうな」

 宏樹が相槌を入れる。

「そして、私としては。五日間も休みがあるのなら、一日位は、各々自由に過ごす日があってもいいと思ってるわ。幾ら暇だとは言え、一日くらいは誰にも縛られず、好きに過ごしたいでしょう?」

「そうですね」

 今度は優人が同意した。

「という訳で。私の考えでは、最初の二日間で、面倒くさい宿題を誰かの家に集まってから早く終わらせて。その次の二日間は思う存分遊び。最後の一日は、遊び疲れを取る為にも、各々自由に過ごすというプランで行くのがいいと思っているのだけど、どう思うかしら?」

 鈴華が、全員の顔を一通り観てそう質問をした。

「まあ、いいんじゃないか」

「うん、それが無難だと思います」

 宏樹と優人は、特に反対意見はない様で直ぐに同意した。しかし、

「えー」

 朝日は、少し不満そうだった。

「あら朝日、何か問題があるの?」

 鈴華は朝日にそう尋ねた。すると、

「いや、問題はないけど。いい案だと、私も思うけど。宿題を二日で終わらせようっていうのは、少し急ぎ過ぎじゃないかな? 最終日は暇なんだから、少しくらい残してても、いいと思うのだけど」

 朝日は、そんな事を言ったが。

「お前はいつもそんな事を言うが。最終的には、間に合わなくて俺や藤宮さんを頼ってるだろ」 

「うぐ」

 優人にそう指摘され、朝日は苦い表情をした。すると、

「そうね、私は別に頼られるのは嫌じゃないけど、いつまでもそんな事だと、将来困るわよ。それに、宿題を全部終わらせてから遊ぶ方が、心置きなく遊べて、より連休を楽しめると思うわよ」

 鈴華は、諭すようにそう言った。すると、

「……分かったよ。その代わり、分からないところは皆んなに聞きまくるから、ちゃんと教えてよ」

 朝日は全員を、正確には、優人と鈴華をしっかり観ながらそう言った。

「分かってるわよ。でも、そんなに心配しなくても、朝日はやれば出来る子だから大丈夫よ」

 鈴華はそう言うと、いったん言葉を切った。そして、

「それじゃあ、ゴールデンウィークはこのプランで過ごすとして。空いてる二日間に何をして遊ぶのか、早速話し合いましょう」

 その後は、ハンバーガーを食べながら全員で意見を出し合って。最終的には、鈴華がきれいに纏めたことで、特に問題なく、ゴールデンウィークの予定が決まった。

 そして、ついでに宿題は二日間、優人の家でする事に決まった。

 正直これは、誰の家でも良かったが。メンバー全員が、優人と朝日の家の場所を知っており。

 宏樹が、仲がいいとはいえ、女の子の家に上がるのは抵抗があると言ったので、消去法で決まった。



 そして、現在は店を出て帰り道。

「じゃあね。鈴華ちゃん、宏樹くん」

「ええ、また明日。朝日」

「またな、渡辺さん。それと優人は、渡辺さんの事をちゃんと送ってやるんだぞ」

「分かってるよ」

 大きな交差点の十字路で、四人は別れた。そして、家が隣同士の朝日と優人は、仲良く並んで、自転車を押しながら歩き始めた。 

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