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幼なじみに告白したい!  作者: 向井数人
第一章
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第7話 月曜日の朝

 月曜日の、朝七時を少し過ぎた頃。目覚まし時計の音で、山下優人はと目を覚ました。

 その後は、着替えを済ませ一階に降りてから。朝食を食べて、洗顔と歯磨きを済ませ、寝癖をといてから、学生鞄を持ち玄関のドアを開けた。すると、

「おはよう、優人」

 玄関前にポツンと立っていた渡辺朝日が、そう挨拶をして来た。しかし、

「とっ、びっくりした。なんか用か朝日」

 優人はそう言った。同じ高校に通っている二人だが、朝日は時間に余裕を持って、早めに登校しているのに対して。

 優人はいつも、時間ギリギリに家を出るので、朝日とは登校時間が合わず。今ではクラスも違う二人は、こんなに朝早くに顔を合わせる事はなかった。

「うん、実は優人に渡したいモノがあるの」

 朝日はそう言うと、手に持っていた風呂敷に包まている四角い形のモノを、優人に差し出した。

「もしかして、弁当か?」

 優人がそう聞くと。

「うん。一昨日は私が少し暴走して、優人に迷惑をかけたから。せめてものお詫びって事で、受け取って欲しいな」

 朝日は、上目使いでそう言った。なので、

「まあ、そんなに気にしなくていいぞ。前も言ったけど、お前に振り回されるのには慣れてるからな」

 優人はそう言った。そして、朝日の持っていた弁当を受け取り。

「でも、弁当はありがとな。お前の料理は旨いから、ありがたく頂くよ」

「あ、うん。ありがとう!」

「何でお前が礼を言うんだよ。それより、今度何か用があった時は、俺の家の中で待っとけよ。四月の終わり頃とはいえ、まだ朝は肌寒いし。今更遠慮する間柄でもないんだから」

 優人はそう言って、自転車を取りに車庫へ向かった。すると、

「うん、分かった。それと優人、折角だから一緒に学校に行こうよ」

 朝日はそう言った。なので、

「別にいいけど、今からだと時間ぎりぎりだから、のんびり話しながら行く時間はないぞ」

 優人はそう言ったが。

「別にいいよ。あ、それなら、どっちが先に付くか競走する? 優人は引きこもりだから、もしかしたら私よりも、体力がないかもね」

 朝日は口元に手を当てて、からかう様な口調でそう言った。

「さすがにお前には負けねえよ。というか、いつまでもそんな男子中学生みたいな事をいってたら、男にモテないぞ」

 それに対して、優人も反論したが。

「大丈夫だよ、優人以外にはこんな事言わないから」

「……そうかよ」

 そう言われると反論出来ない。相変わらず優人は、朝日にはとことん弱いのだった。



 その後、朝日と競走する事はなかったが、少し話をしてたせいで、家を出るのがいつもより遅れた二人は、少し自転車を飛ばして学校へ向かった。

 なので一応、ホームルームの十五分前には、校門を潜る事が出来た。そして二人は、自分たちの自転車置き場に自転車を置いてから、靴箱に向かった。

「あ、そういえば優人、今日の放課後は暇?」

 靴を履き替えた朝日は、唐突にそんな事を聞いてきた。

「そりゃあ暇だけど、俺に何か用か?」

 優人がそう聞くと。

「うん。なら放課後、森川くんと一緒に、教室で待っててくれない? 私と鈴華ちゃんの二人で迎えに行くから」

 朝日はそう言った。

「宏樹に藤宮さんも居るのか。それに、迎えに来るって事は、何処かに行くのか?」

「うん。詳しく事は放課後に話すけど、悪い様にはしないから。お願いね」

 朝日はそう言うと、優人を置いて先に階段を上り、自分の教室へと向かった。

(相変わらず、こっちの都合何てお構いなしに誘って来るな。まあ家に帰っても、宿題かゲームくらいしかする事がないから、別にいいけどな)

 優人はそう思い、教室に向かった。



「おはよう優人、今日は少しだけ来るのが早かったな」

「おはよう宏樹、今日は少し飛ばして来たからな」

 優人が席に着くと、前の席に座っていた森川宏樹がそう言って話しかけてきたので、優人も適当に返事をしておいた。そして、

「そういえば宏樹、今日の放課後は暇か?」

 優人は宏樹にそう聞いた。すると、

「ん? ああ、暇だけど何か用か?」

 宏樹は聞いてきた。なので、

「いや、朝日が今日の放課後に、俺と宏樹と藤宮さんとの四人で何処かに行きたいらしいから、教室で待っとけって言ってたんだ。だから、お前の予定は大丈夫か確認しときたかったんだ」

 優人は素直にそう答えた。すると、

「別にいいけど。そうか、藤宮さんも一緒か」

「何だ、藤宮さんも一緒だと何か問題なのか?」

 優人はそう言ったが。

「そんな事はねえよ。ただちょっと、懐かしいなと思っただけだ。去年は俺たち四人でよく昼ご飯を食ってたけど。クラスが別れてからは、二人とは話をしてなかったからな」

 宏樹はそう言った。

「そうだな。俺も朝日とはよく会うけど、藤宮さんの顔は、最近見てないな」

「まあ、そうだろうな。それで取りあえず、放課後はここに残ってればいいんだろ?」

「うん、悪いな」

「別にいいって、どうせ帰ってもやる事ないからな。いい暇つぶしにさせてもらうよ」

 そんな風に、ホームルームが始まるまで、優人は宏樹と適当に雑談をして過ごた。

 その後は、ホームルームを終え、午前中の授業を済ませ。優人は宏樹と一種に昼ご飯を食べて、午後の授業を済ませた後。各々掃除をし、帰りのホームルームを済ませた。

 ただ今日は、何事もない平穏無事な一日とはいかず。

 いつもは購買で昼ご飯を買っていた優人が、珍しく弁当を持って来ていたのを観て。朝日に作ってもらったモノだと一瞬で気づいた宏樹に、少々からかわれたが。

 ただ、優人からしてみれば、好きな人の手料理を食べられる喜びに比べたら、些細な事だったので、気持ち的にはかなりプラスだった。

 そして、約束の放課後。



「お待たせ優人! そして、久しぶり森川くん!」

 ホームルームが終わって少し時間が経ち、優人と宏樹以外の生徒が殆ど居なくなった頃、朝日がそう言って、教室に入って来た。そして、

「お久しぶりね、山下くん。それに森川くんも」

 朝日に続いて藤宮鈴華も、二人が居る教室に入って来て、そう挨拶をした。すると、

「おう、久しぶりだな藤宮さん、それに山下さんも」

 宏樹は軽い感じで、二人にそう挨拶を返したが。

「お久しぶりです、藤宮さん」

 優人は、かなり他人行儀な言葉で、鈴華に挨拶をした。すると、

「ふふ、二人は相変わらず変わってないよね。安心したわ」

 鈴華は僅かに口元をほころばせ、そう言った。ほんの少し笑って見せるだけでかなりの絵になる辺り、美人というのは侮れない。

「それで朝日、結局この後はどこに行くつもりなんだ」

 優人はさっそく本題に入り、朝日にそう質問をした。すると、

「うーん、正直場所は、何処でもいいんだけど。とりあえず、メックに行こうよ」

 朝日は、国内最大規模のハンバーガーショップの名前を挙げてそう言った。

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