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幼なじみに告白したい!  作者: 向井数人
第二章
39/42

第39話 再び書店にて

 次の日の日曜日、山下優人は自分の財布の中を見ながら、神妙な表情をしていた。

「やっぱり、昨日はちょっと無理をしたかな」

 そう言って優人は、自室に設置している、パソコンの画面を覗いた。

 昨日のデートに関しては、優人は自分なりのベストは尽くしたと思っているし。多少財布が寒くなることも覚悟の上だったので、全く後悔はないのだが。

 それでも、最後の夕食代は馬鹿にならず。ラノベや漫画やゲームにそれなりの金額を注いでいる優人としては、早くバイト先を決めて臨時収入を得ないと、これから先、我慢の生活が始まりそうだった。

 そんな中、優人が見ているパソコンの画面には、彼が住んでいる地域近辺の、アルバイト求人の一覧が載っていて、優人はそれを見ていたが。

 中々よさそうな求人が見つからず、優人は小さくため息をついた。

 正確には、気になる求人自体は何個かあるのだが、優柔不断な優人は本当にこれでいいのかと、中々決めきれず、彼是一週間以上このことに悩んでいた。

「とは言え、これ以上悩み続ける訳にもいかないよな」

 優人はそう言い、こういう時、誰かに相談出来たらいいなと思ったが。

 朝日には、あまり頼らないようにしようと昨日話したばかりなので、できれば他の人に相談したいのだが。

 彼にとって、唯一の友人である宏樹は、アルバイト経験がない為、そうなると交友関係の狭い優人には、相談相手が居なくなるんだが。

「……そういえばもう一人、相談できそうな人が居たな」

 優人は先週偶然知り合った、絶賛アルバイト中だった、一人の女の子のことをふと思い出したが。

 多少オタク話をしただけで、まだ友達と呼べる程仲がいい訳ではない為、急にこんな相談をしても、迷惑かもしれないと思ったが。

「……でも、また来てくださいって言ってたしな……取り合えず、行くだけ行って、聞けそうなら聞いてみるかな。今日はどうせ暇だし」

 優人はそう言うと、ネットのページを閉じパソコンの電源を落とすと。

 立ち上がり、出かける準備を始めた。

 そして、財布などの荷物を入れた小型のカバンを持って家を出て、暫く自転車を漕いだ後。




「……」

 優人は再び、先週訪れた古川書店に来ていた。そして、

「ガラガラ」

 ゆっくりと、店のドアを開けてそのまま中へと入った。すると、

「いらっしゃいませ……あ」 

「えっと……どうも」

 優人がそう言うと。

「ええ、先週ぶりですね。えっと、いらっしゃいませ」

 少し驚いた顔をしつつも、大人しそうな印象の彼女、小山凪月はそう言って、挨拶を返してきた。

 先週来た時は、本の世界に浸っていて、優人の存在には全く気づかなかったが。

 今回は、ドアを開く音を聞くと直ぐに本から顔を上げて、優人の方を見てそう言った。なので、

「ええ、そうですね」

 優人はぶっきら棒にそう言葉を返した。すると、

「えっと……今日もまた、古川店長に何か用事があって、ここにいらしたのですか?」

 小山凪月は唐突に、そんな事を聞いてきた。なので、

「いや、そういう訳じゃないんだ」

 優人は正直にそう答えた。すると、

「そうなんですね……えっと、それなら何か用事があれば、遠慮なく声を掛けてください」

「ああ、分かった」

 優人がそう答えると、朝日は再び、手にしていた本に視線を落とした。

 先週では、多少お互いの趣味の話をして、少しは仲が良くなった気がしていたが。

 それでも会うのは二回目で、優人も彼女も、そんなにコミニュケーション能力が高い訳でも無いので、特に会話も続かず、そう言って会話が途切れた。

 優人としては、彼女にアルバイトの事について、何か話しが聞けたらいいかなと思っていたが。

 そんな雰囲気でもなさそうな為、暫くは黙って、本を見て回ろうと思った。

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