第36話 デート当日 ④
「えー、なんでよ! そこは分ったって言うとろこじゃないの」
優人の答えを聞いて、朝日は不満そうな表情でそう言った。すると、
「なんでって言われても。さっきも言ったけど、俺にとって映画は、一人で観たい時にのんびり観るモノだからな。毎回お前の予定を聞いて、わざわざ合わせて行くとなると、正直面倒くさい」
優人は正直に、自分の思いを口にした。しかし、
「えー、なにそれ。折角好きな人が、一緒に居たいって言ってるんだよ。それに比べたら、お互いの予定を合わせるなんて、そんなに手間にもならないでしょ……それとも優人は、もしかしてあんまり、私と一緒に居るのは、嫌なのかな?」
朝日は、最初こそは威勢がよかったものの、後半になるにつれて、少しずつ自信を無くして行ったのか、少し俯いて、声を小さくいてそう言った。
「いや、そういう訳じゃなねえよ。俺だって、お前と一緒にいる時間は好きだし、今はクラスも違うから、休日はずっと一緒に居てもいいくらいには思ってるけど。人間だれしも、偶には誰でも合わず、一人静かに過ごしたい時もあるだろう? 俺にとって映画鑑賞は、その時間なんだよ」
優人がそう答えると。
「……でも、今日は誘ってくれたじゃん」
朝日は、少しいじけた口調でそう言った。なので、
「それは、なんというか。昔、父さんに映画に連れて行ってもらった時は、なんとなく、楽しかった記憶があるからな。多分お前と一緒なら、より一層楽しめそうだなと、そう思っただけだ」
優人は、ぶっきら棒にそう言った。すると、
「そうなんだ。私はてっきり、ネットでおすすめのデートプランを調べたら出てきたから、取り敢えず決めたのかなとも思ってたんだけど、そういう訳じゃないんだね」
朝日がそう言うと。
「……お前もよく知ってるだろうけど、俺はデートをするのは、今回が初めてだからな。そういうのも当然、参考にはしたよ。でも、今回のプランは俺なりに必死に考えて導き出した、二人で楽しむ為の最高のデートプランだよ」
優人は自信を持って、そう答えた。
「そんなんだ……なら優人、一つ提案があるんだけど」
「なんだ」
優人がそう聞くと。
「今回のデートを通して、私だけじゃなくて、優人も楽しいと思えたら。別に映画じゃなくてもいいから、今日みたいに、偶には優人からも、私のことを遊びに誘って欲しいな。いつも私に付き合ってもらってばかりなのも悪いし。私はもっと、優人の好きなことを知りたいから」
と、朝日はそんなことを言った。なので、
「俺はかなりの引きこもりだからな。滅多に外に出ないから、大体俺の家に来てもらうことになけどな。それでもいいんなら、別にいいぞ」
優人がそう言うと。
「それでいいよ。前にも言った気がするけど、優人の部屋には漫画やラノベがあるし。特になにもせず、優人と話してるだけでも私は十分楽しいから」
と朝日は言った。なので、
「そうか、分かった。それじゃあ、もしこのデートが上手くいって、多少は自信が持てたら、今後は俺の方からも、頑張ってお前のことを、なんかに誘うようにするよ」
「うん、お願いね優人」
「ああ。その、悪いな朝日」
「? なんのこと」
朝日がそう聞くと。
「いや、折角のデートなのに、俺のせいでお前に、余計な気を使わせてしまって。本当俺って、面倒くさい性格してるよな」
優人は多少自虐的に、そう呟いた。しかし、
「別にいいよ。そういう所も含めて、私は優人のことが好きになったんだから。それより、そろそろいい時間だから、チケットを買って気分を変えようよ。折角の映画も、暗い気分のままだと楽しめないよ」
「ああ、そうだな……ありがとう朝日」
「そう思ってくれてるんなら、この後の時間は、二人で名一杯楽しもうね。私にとっても、それが一番嬉しいことだから」
「ああ、そうなるように頑張るよ。取り敢えず、チケット買うか」
「そうだね」
そう言うと二人はチケットを買いに並び、二人分の券を買うと、その後は売店で、少しお高めのジャージを各々好きなものを頼み。
映画館の職員に、チケットを見せ。入場者特典を受け取ると、二人は指定された番号の部屋へと向かった。




