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幼なじみに告白したい!  作者: 向井数人
第二章
35/42

第35話 デート当日 ③

「それで、なにか見たいモノはあるか?」

 優人がそう聞くと。

「うーん、そうだね」

 朝日は、劇場の中に大きく貼ってあるポスターを見ながら、少し悩んでいたようだが。

「ねえ、これにしよ!」

 そう言って朝日は、アニメ好きなら誰もが知っているであろう、超有名なバトルアニメ映画の、最終章のポスターを指さした。なので、

「俺はいいけど、お前は本当にそれでいいのか? 別に俺に合わせなくてもいいんだぞ?」

 優人はそう言った。

 生粋のアニメオタクである優人にとって、朝日がこの作品を選んでくれたことは素直に嬉しかったし。

 優人もどれか観たいか選べと言われたら、今なら間違いなく、この作品を挙げるが。

 朝日の場合、アニメ自体は、有名どころを中心にそれなりに観ているが。

 ドラマやバラエティーなど、それ以外にも、色々なジャンルのモノも、あまり選り好みせず観ている為。

 他に観たいモノがあっても、無理に自分に合わせてくれているのではないかと。朝日の答えを聞いて、優人は少し心配になり、思わずそう言った。すると、

「ううん。私は本当に、これがいいよ。他に観たい作品が無いって言ったら、それは嘘になるけど。映画の楽しみって、映画を観てる時だけじゃなくって、観終わった後の、二人で感想を言い合う所も含めてだと思うから。そう考えたら、優人と観る映画は、この作品が一番だと私は思うな」

 朝日が笑顔でそう言うと。

「……そうか、その考えは、正直俺にはなかったな」

 優人は、心底意外そうな表情でそう言った。

「そうなの?」

「ああ。俺にとって映画は、一人で静かに観るものだからな。誰かと一緒に観て感想を言い合うなんてことは、あんまり考えたことがなかったよ」

 優人がそんなことを言うと。

「そういえば、優人と映画を見に来たのは、これは初めてだね……もしかして優人、他の誰かと一緒に映画を見に来るのって、これが初めてだったりする?」

 そう言われると、優人は少しの時間、自分の記憶をさかのぼり。

「そうだな。家族以外の人といくのは、これが初めてだな」

 優人はなんでもないように、そう言った。すると、

「そうなんだ。森川くんとは、一緒に行かないの?」

 朝日は特に驚いたり、からかったりするようなこともなく。優人の一番の友人の名前を出して、そう聞いたが。

「あいつはアニメは、ジャップ系しか観ないからな」

 優人はボソッと、そう答えた。

「はは、確かに森川くんは、そんな感じだよね。あ、そうだ優人!」

「どうした? 朝日」

「今日だけじゃなくて、この先も映画を見に行くことがあったら、私のことも誘ってよ! 私なら、優人が観てるアニメは大体観てるし……それに、優人と一緒に過ごせる時間が増えるのは嬉しいから、なんて」

 と、朝日は少し照れくさそうに微笑みながら、そんなことを言った。それを聞いて優人は、

「いや、それは遠慮しとく」

 と、一切間を置かず、そう断言した。

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