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幼なじみに告白したい!  作者: 向井数人
第二章
33/42

第33話 デート当日 ①

 翌週の土曜日。山下優人は渡辺朝日と、とある場所で待ち合わせをしていた。

 先週、朝日の気持ちを少し損ねてしまったお詫びと。

 今まで朝日に、告白を待って貰った感謝を込めて。今日は優人が、朝日をデートのエスコートする予定で。彼は現在、待ち合わせ場所である近所の電車の駅へ、自転車で向かっていた。

 朝日とは家が隣同士なので、一緒に出かけた方が効率的だし、今までも二人で出かける機会があれば、目的地まで二人で向かうことが多かったのだが。

 デートと銘打っている以上、待ち合わせをしていた方がそれっぽくなるのではないかと言う、優人の浅い考えの元、待ち合わせからきちんとしようと言う事になったのだ。

 そして、自転車を漕いでから20分ほど経ち、優人は待ち合わせを場所の駅に辿り着き。

 自転車置き場に自分の自転車を置き、鍵を二重でかけた後。電車のチケットを買い、駅のホームへと向かった。すると、

「……なんだ、もう来てたのか」

 優人は、ホームの長椅子に座って、スマホの画面を覗いていた朝日を見つけ、彼女にそう声をかけた。すると、

「あっ、優人だ。今日は随分早く来たんだね」

 朝日はスマホから眼を離して、優人のことを見ると、少し意外そうな口調でそう言った。なので、

「なんだ、俺が早く来るのが、そんなに珍しいのか?」

 優人がそう聞くと。

「うん。だって優人、早起きするがめちゃくちゃ苦手だから。学校に行くのだって、いつも家を出るのが遅いから、一緒に登校できないし。休日に出かける約束をしても、早い時間だと優人は起きれないから、いつも私が起こしに行ってるでしょ?」

「……そう言われたら、俺はなにも言い返せないわ。正直、悪かった」

 優人が、少し罰が悪そうにそう言うと。

「まあそれは、もう慣れてるから別にいいんだけどね。でも正直に言うと、今日のデートはさっきまで、少し不安に思ってだんだよね」

「そうなのか?」

 優人がそう聞くと。

「うん、待ち合わせをしようって提案してくれたのは、優人なりに今日の事を真剣に考えてくれてるんだと思って、正直かなり嬉しかったんだけど。もし、優人が寝坊して、出だしから躓く事があったら嫌だなあって。それなら、いつもみたいに私が優人を起こしに行った方が、デートらしさはだいぶ減っちゃうけど確実かなって、そう思ってたの」

「……そこまで信頼されてないのか。自業自得とは言え、少し悲しくなってくるな」

 優人が、少し覇気を失った声でそう言うと。

「うん。でもそれは、昨日までの優人に対してだよ」

 朝日はそう言うと、優人の右手を自分の両手で、力強く握った。

「えっと……朝日?」

 朝日の行動に、優人が少し困惑していると。

「大丈夫。今の優人なら、私はちゃんと、信頼できるよ。約束の30分前に来てくれるなんて、正直、全然思ってもなかったし。いつもよりも頑張ってお洒落してるのも、優人の格好を見れば、私には分かるよ」

「そう言ってくれるのは嬉しいけど、言葉だけだと、なんだか母さんの目線で言われてるみたいな内容で、ちょっと嫌だな」

 優人がそう言うと。

「そうなんだ。なら、優人は私にどんな目線で見られたのかな?」

 朝日は、優人の右手を優しく揉みながら、甘えるような口調でそう言った。

 そして優人は、突然の事に動揺しつつも。

「そんなの、カッコいい異性として見られたいに、決まってるだろ」

 それを表には出さないようにしつつも、自分の想いは一切隠さず、ありのままの本心を告げた。すると、

「そうなんだ。それなら私も、優人にはただの幼なじみじゃなくて、可愛い異性としてみて欲しいな」

 朝日は更に、甘える様な口調で、そんな事を言った。

「……朝日」

「……優人」

 まだ付き合っていなくとも、生まれてからずっと一緒に過ごしてきた二人には、お互いの気持ちが、手に取るように分かった。

 二人は少しの時間見つめ合うと、少しずつお互いに顔を近づけて行き、お互いの気持ちを確かめ合うかのように、唇を静かに重ねようとした所……

「ねえママ、あの人たちは何をしてるの?」

「こら和樹! あまり人様をジロジロ見てはいけません!」

 突然の声に驚いて、二人が声をした方を見てみると。

 そこには、不思議そうな顔をしてこちらを眺めている、幼稚園児くらいの男の子と。ベンチに座って、かなり気まずそうな表情をしている、彼の母親らしき人物が座っていた。

「あっ、その、ごめんなさい!」

 最初に動いたのは、朝日だった。母親らしき女性に頭を下げると、具体的な内容は出さず、それでも必死に謝ってた。すると、

「いえ、別に謝らなくてもいいのよ。若い子同士、気持ちが抑えられなくなることくらい、あってもおかしくはないわ。ただ、相手だけじゃなく、もう少し周りも気にした方がいいと、私は思うわ」

「そうですよね。今後は気を付けます」

「その、俺も俺の方からもすみませんでした」

 朝日に続いて、優人もそう言って、言葉を続けた。

 二人の実家は、どちかと言えば田舎の方にあり。この駅も、電車が一時間に一本くらいしかこない駅で、学生以外はあまり利用してないことと。

 初めてのデートで、二人の気分が多少なりとも高揚してことも合わさり、ついつい大胆な行動に出てしまった。

 なので二人は、一度落ち着くために深呼吸をすると、そのまま並んで、ベンチに腰掛けた。

 そして優人は、電車が来るまでの残り数十分を、少し心を落ち着かせるために、のんびり待って居ようと思っていると。

 ツンツンと、朝日が優人の脇を、つついてきた。何事かと思って、優人が朝日の方を向くと、朝日は優人の耳元へ、顔を近づけると。

「さっきの続きは、デートの終わりにしようね」

 朝日は小声で、優人にそう耳打ちするのだった。

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