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幼なじみに告白したい!  作者: 向井数人
第二章
30/42

第30話 待ち時間

 彼女が読書を再開したのを観て、優人は暇な時間が訪れた。とはいえ、数十分も何もせずに過ごす訳にもいかないので、優人は本棚に並んでいる本を観ながら、暇を潰す事にした。

 彼自身、普段から漫画やライトノベルをよく読んでいて、本を読むことは好きだったので、こうして本のタイトルを見て回るだけでも、優人はそれなにり楽しめるタイプの人間なのだが。

 この店舗には、某有名な英語七文字の全国チェーン店とは違い、どんなジャンルの本でも幅広く取り扱っているという事はなく。

 彼の目に着くのは、国語の教科書に載っていそうな有名なタイトルの純文学や、いかにも頭のいいおじいさんが集めてそうな、小難しそうな歴史書や専門書が多数を占めていて、優人の趣味とはズレている内容のモノが大半だった。

 ただ一応、漫画やライトノベルを置いているスペースもあり、優人はそのコーナーへと訪れたが。

 そこに置いてあったのは、日本人なら誰でも知っている様なジャップ系の長編漫画や。

 多少アニメの知識があれば、実際に観たことはなくても、タイトルくらいは聞いたことがある様な、少し前に流行った、有名なライトノベルばかりで。

 小遣いの殆どを、漫画やアニメに詰め込み。

 週刊少年漫画雑誌の発売日には、登下校の途中にあるコンビニで立ち読みをし。

 毎シーズン十本前後のアニメを、最後まで欠かさずに観終わる優人からすれば、タイトルを見ただけで、どの様な内容だったか、物語の最初から最後まで、大雑把に説明できるくらいには、しっかり読み込んだ作品ばかりで。

 幾ら暇だとはいえ、今更改めて見直そうとは思えなかった。

 寧ろ、メジャータイトルの作品は、漫画、ラノベ、アニメ問わず、殆ど目を通している優人からすれば、マイナーだけど、実は愛好家が多い、隠れた名作である作品を探すのが、本屋に訪れた際に、優人がよくやっている、一番の楽しみ方だが。

 この店には、そういった楽しみ方を見出すのは、かなり厳しそうだった。

 なので、優人は仕方なく、スマホで適当なネットニュースを観ながら、過ごす事にした。

 そして、暫く間立ったまま、スマホの画面を指でタップしながら眺めていると。

「……あの」

「え?」

 唐突に、店の奥かの方から声を掛けられ、優人が顔を上げて、レジの方を見てみると。

 レジの後ろで、先ほどまで読書をしていた女性が。本を机の上に置き、優人の方を観ていた。そして、

「……その、立ったまま待つのも大変でしょうから。もしよかったら、そこに座って待って居て下さい」

 と、店の隅に置いてあった、折り畳み式のパイプ椅子を、遠慮がちに指さしながらそう言った。

「……そうですね。それなら、そうさせて貰います」

 優人はそう言うと、再び店の奥まで歩いて行き。

 パイプ椅子を組み立て、彼女とは多少距離を置いた場所に、椅子を置き。

 ゆっくりと、その椅子に腰かけた。すると、

「えっと……お茶か何か、飲みますか?」

 彼女は遠慮がちに、そう聞いてきた。しかし、

「いえ、遠慮なく」

「……そうですか、分かりました。では、もう少しお待ちください」

 彼女はそう言うと、再び本を手に取り、読書を再開した。それを観て、優人も再度、スマホで時間を潰そうと、ポケットに手を入れようとしたが。

「……あの」

 また声を掛けられて、優人が顔を上げると。本から視線を上げてた少女が、優人の事を観ていた。そして、

「えっと……その……」

 彼女は、まだ優人に言いたい事があるのか。そんな風に彼女は、何かを口にしようとしては、言いづらい事なのか、中々口には出せずにした。しかし、

「……ん!」

 と、何かを決意したかの様に、彼女はそう言うと、表情を引き締めた。そして、

「あの!」

「え、あ、はい。何でしょう」

「……千咲さん、古川店長とは、どういったご関係なのですか?」

 彼女はそう質問をした。なので、

「えっと……いきなりどうしたんですか?」

 優人は少し困った様子で、そう聞き返した。すると、

「あ、すみません。ただ、こんな風に、店長を訪ねてきた人は初めてだったので。どんな要件なのか、少し気になってしまって……あ、勿論、言いづらい事なら、無理に言わなくてもいいですよ!」

 彼女は自分の気持ちを伝えた後、慌てた様子でそう付け加えた。なので、

「ああ、そういう事ですが。別に隠すような事ではないので、知りたいのでしたら、お話ししますよ」

「あ、はい。よろしくお願いします」

「ええ、実は……」

 そして優人は、昨日おこった出来事と、自分がここを訪れる事になった理由を、簡潔に話した。すると、

「……そうなんですか。昨日そんなことがあったんですね」

「ええ。因みに店長は、この事を貴方には話してなかったんですか?」

 優人がそう聞くと。

「……はい。ただ、もしかしたら近い内に、私と同い年くらいの人が店に来るかもしれないと言ってましたが、お客様の事だったんですね」

 彼女は優人の事を観て、そう答えた。なので、

「多分、自分の事でしょうね……因みに、同い年くらいって話ですが、おいくつなんですか?」

 優人はもう少し踏み込んで、そう質問をした。すると、

「あ、えっと……今年で、高校1年生になりました」

 彼女は少し戸惑いつつも、そう答えた。なので、

「そうなんですね。因みに俺は高校2年生だから、貴方の一つ歳上ですね」

「……ええ、そうなりますね」

 そこまで話して、二人の会話は途切れた。

 優人は普段からあまり口数が多くなく。女子との会話も、母親と幼なじみの渡辺朝日を除けば、偶に会う藤宮鈴華と少し、世間話をする程度なので。

 女子とはどういった会話をすればいいのか、正直、優人にはよく分からなかった。

 ただ、店員の女子の方も、会話はあまり得意そうではなく。優人に話しかける時はいつも、緊張しているのか、深呼吸を挟んでから、話しかけて来てきていて。

 実際に話している時も、あまり異性とは話慣れてないのか、少し頬を赤くしながら話していた。

 それなのになぜ、わざわざ話しかけてくれたのかと言うと。それは単に、大切なお客様に退屈な思いをさせてはならないという、店員魂の様なモノが働いたのだろう。

 とはいえ、どんな理由であれ、歳下の、しかも可愛い女の子に話しかけられて、思春期待っただ中の男子である優人が、嬉しくない筈もなく。

 同じ人見知り同士、優人が妙な親近感を覚えた事も重なり。

 優人はもう少し、この店員と話してみたいと思った。

総合評価100行きました、ありがとうございます。遅筆ですが、今後もこまめに更新するので、よろしければブクマ、評価、感想等よろしくお願いします。

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