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幼なじみに告白したい!  作者: 向井数人
第一章
26/42

第26話 結末

 朝日の母親、によると、彼女がパートから帰ってみると、いつもの様に家の鍵はかかっていたのだが、いつもとは違い朝日の靴がなく。

 朝日の部屋に行ってみると、彼女のランドセルと制服が部屋の中にあったので、もしかすると優人の部屋に遊びに行ったのではないのかと思い、急いで確認に来たようだった。

 しかし、優人の母が、家に朝日が来てない事を伝えると、朝日の母は再び慌てはじめたので、優人の母は、自分の息子なら何か知っているかもしれないと思い、自分の部屋に居た優人に事情を説明し、優人に何か心当たりは無いかと尋ねた。なので、

「もしかして、俺が酷い事を言ったから、そのせいで家出したのかもしれない」

 と言うと、優人の母親は、

「馬鹿、あんたみたいな男と仲良くしてくれる女の子なんて、この世の何よりも貴重なんだから、大事にしないと罰が当たるわよ!」

 と言うと、急いで彼の部屋を出て、階段を下りて、玄関へと向かっていった。そして、暫くすると、優人の母は、彼の部屋に戻って来て。

「あんたが朝日ちゃんに何を言ったのかは知らないけど、状況から考えて、家出の線が太そうね。取りあえず、私は朝日ちゃんのお母さんと一緒に、朝日ちゃんを探して来るから、あんたは大人しく、ここに居なさい」

「……いいや、俺も朝日を探すよ」

 優人はそう言ったが。

「馬鹿、夏場とはいえ、もう外も暗くなってきてるし、小学生を一人で出歩かせる訳にはいかないわ。それに、もしかしたら朝日ちゃんが部屋に戻って来るかもしれないから、あんたは窓から、朝日ちゃんの部屋に明かりが付かないか観といて、もし戻ってきたら、私に電話しなさい!」

「……分かった」

 それを聞いて、優人は渋々といった感じで納得した。なので、

「よし、それじゃあ決まりね。夕食は遅くなるだろうけど、我慢してね」

 優人の母はそう言い残し、彼の部屋を後にした。

 それを見送った優人は、部屋の窓を開け、そこから観える、明かりが消えている、真っ暗な朝日の部屋を覗き込んだ。そして、

「……すまねえ、朝日……」

 そう言った謝罪の言葉は誰にも届くことはなく、真夏の空へと消えていった。




 その後、優人は部屋に残り、母親が戻ってくるのを待って居たのだが、一時間以上たっても、母親は帰ってこず、朝日の部屋の明かりが灯る事も無かった。

 そして、そんな中、優人は段々と不安が溜まっていき、外は大分日が陰っていたが、流石にこれ以上ただ待って居るだけというのも気が気ではないので、自分も朝日を探しに行こうと思い、勉強机から立ち上がった瞬間。

「プルルルル」

 と、家の固定電話が鳴り響いた。それを聞いた優人は、直感で母親からの電話だと思い、急いで自室から出ると、階段を下りて一階に行き、急いで電話に出た。

「もしもし! 母さん!」

「優人……取りあえず、朝日ちゃんは無事に見つかったわ。大した怪我もないみたいだから、安心しなさい」

 そう言われ、優人はひとまず、安堵の息をついた。しかし、

「ただ……ここから先は大事な話だから、心して聞きなさい」

 そう前置きし、優人の母は一呼吸置くと、ゆっくりと、少し声を震わせながら、言葉を続けた。

「実は……朝日ちゃんの事を庇って、彼女のお母さんが、車に跳ねられたの」

「……え」

 その後の事は、優人はあまり記憶にないが、母に言われる事に、只々頷き、言われた通りに動く事しか出来なかった。

 ただ、この事をキッカケに、朝日は自分の部屋に籠って、学校に顔を出さなくなり。

 優人も、心にぽっかりと穴が開いた様な、虚ろな毎日を過ごす事になった。




 その後、色々あって朝日は学校に復帰し、優人ともきちんと仲直りするのだが、それはもう少し、先の話である。

 そして、この事も、優人が朝日に引け目を感じている、もう一つの大きな要因であり。彼女に告白できない、原因の一つだった。

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