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幼なじみに告白したい!  作者: 向井数人
第一章
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第16話 動物園

 その後、優人と朝日の二人は駅に着き、先に来ていた宏樹と鈴華と合流した。そして、電車に揺られる事、十数分。目的の駅に着いた四人は、そこで更にバスに乗り、今度は三十分程、バスの中で過ごし。

 本日の目的地である、動物園にたどり着いた。そして、四人は入場料を払い、園内へと入った。

「動物園に来るのなんて、小学生以降ね」

「俺もそれくらいだな、確か」

 鈴華に続いて、宏樹がそう答えた。そして、

「私たちは、幼稚園以来ね」

 朝日は、優人の方をそう言った。すると、

「そうだな。確かあの時は、家とお前の家族全員で、一緒に行ったんだっけな」

「そうだね。因みにその時に来たのも、この動物園だったんだけど。優人はその事を覚えてる?」

「いいや、さすがにそこまでは覚えてないな。でも、言われてみたら確かに、一度ここには来たことがある様な気がするわ」

 優人がそう言うと。

「家族ぐるみで仲がいいのか。何と言うか、さすが幼なじみだなとしか言えないな」 

「そうね。きっとその時から、今みたいに朝日が、山下くんの事を連れまわしていたんでしょうね」

 宏樹に続いて、鈴華がそう言ったが。

「ううん、そんな事ないよ。あの頃は今とは逆で、優人が私の事を連れて、色んな動物を観て回ってたよ」

「あら、そうなの。何だか意外ね」

 少し驚いた様子で、鈴華が言うと。

「あー、そう言われたら、少し思い出して来たかも。確かお前、蛇だったかな。あれを観た時は、俺の背中に隠れて、泣きそうになってたよな」

「もー、何でそんな事は覚えてるのよ! それに、蛇なんて怖がって当たり前と言うか、あんなグロいモノ置かなくていいというか。ていうか、普通に恥ずかしいから、皆の前で言わないでよ」

 朝日はそう言うと、優人の背中を両手をグーにして殴り始めた。ただ、肝心の優人は、そんなに痛くないのか。

「悪い、悪い」

 と、少し笑いながら謝っていた。しかし、

「いちゃつきたいのは分るけど、それは歩きながらにしてくれないかしら? 今日はそこまで、のんびり出来る時間もないのだし」

「そうだな。それに、周りの目も気になるしな」

 そう言われて、二人が周りに目を向けてみると、あからさまではないモノの、多くの家族連れや、偶にいるカップルが、二人の事を遠目から観ていた。なので、

「あ、うん、そうだね。鈴華ちゃんの言うように、そんなに時間はないし早く回ろう」

「……ああ、そうだな」

 それに気づいた二人は、少し気まずい空気になりながらそう言った。

「そうね。取りあえず最初は、一番近くにあるペンギのエリアから観に行きましょうか」

 鈴華は、受付でもらったパンフレットを観ながらそう言った。

「そうだね。のんびりしてて全部観れないのも勿体ないし、早く行こう!」

 鈴華の言葉を聞いた朝日がそう言うと、よっぽど楽しみだったのか。少し早足で目的地に向けて歩み始めた。そして、

「うわー、めっちゃ一杯居る。それに可愛い!」

 ガラス張りを挟んで、水の中を優雅に泳いでいるペンギンを観て。朝日は、生まれて初めて動いているペンギンを観た小学生の様にはしゃいでいた。

 ただ、二人が前にここを訪れたのが十年以上前の事で。朝日は子犬や猫など、可愛い動物が大好きだったので。彼女の素直な性格も合わさって、テンションが爆上がりしていた。

「そうだな。でも、思ってたより小さいな。昔見た時は、もっと大きいと思ってたんだけどな」

 優人がそう言うと。

「あの時とは違って、私たちは大分成長したからね。あの時とは見え方も違うでしょ。それに小柄だから、これだけ可愛いけど。これで滅茶苦茶大きかったら、ちょっと怖いし」

「あら、別にペンギンだからって、全部が全部小さい訳ではないのよ」

 すると、朝日の隣に居た鈴華がそう言った。

「え? そうなの?」

 朝日がそう聞くと。

「ええ。ここに居るペンギンは、フンボルトペンギンと呼ばれるもので、身長は六十センチ後半、体重は三から四キロくらいしかないけど。現在最大種のペンギンはコウテイペンギンで、大きいモノだと、身長は百三十センチ、体重は四十五キロにもなるそうよ」

 鈴華は得意げな表情でそう語った。

「えー、そんなに大きいの。人と殆ど変わらないじゃん」

「そうだな。丁度お前と同じくらいだな」

「何でよ! 私はそこまで小さくないよ……体重は、そんなに変わらないけど」

 朝日の後半の言葉は、小さくて誰も聞き取れなかった。すると、

「お前は何かある度に、渡辺さんをいじらないと気が済まないのか」

 優人の隣に居た宏樹が、呆れた様子でそう言った。

「そんな事はねえよ。しかし藤宮さん、随分ペンギンに詳しいですね。もしかして、動物が好きなんですか」

 優人がそう聞くと。

「そういう訳じゃないわ。でも、予習の成果を褒められるのは、悪い気はしないわ」

 鈴華は、満足げな表情でそう言った。どうやらこの日の為に、色々と動物に付いて調べて来たらしい。そういう真面目な所は見習いたいなと、他の三人は思うのだった。

 その後は、キリンやシマウマ、ウサギにダチョウ等を、朝日がはしゃぎ、鈴華がそれぞれ解説し、男二人が適度に突っ込みを入れながら観て回っていた。

 そして、気が付けば一時間半近くたち。ようやく半分ほど、園内の動物を観て回ったという頃。

「この後は、各々自由時間にしない?」

 唐突に、鈴華がそんな提案をした。

「え、どうしてですか?」

 少し驚いた優人が、そう質問すると。

「このペースで観てたら、全部観終わる頃には、閉園の時間になってしまうわ。折角、これだけたくさんの種類の動物が居るのだから。後の時間は各々、好きな動物を観て、閉園の十分前には、出口前に集合という風にすればいいと、私は思うのだけど。他の皆はどう思うかしら?」

 鈴華は、全員に視線を向けてそう聞いた。すると、

「俺はそれでいいぜ。動物園に来る機会はそんなに無いし、少しは自由に散策してみたいからな」

 宏樹はそう言って、あっさりと承諾した。そして、

「うん、私もそれがいいな。正直に言うと、もっと観てみたかった動物が、さっきいたし」

 朝日も、宏樹に続いて同意した。

「そう。それで、山下くんはどうかしら?」

「俺もそれでいいですよ。皆そうしたいみたいですし、反対する理由もないですから」

 優人も特に文句はなく、その意見に納得した。

「そう、ならここで、一旦解散ね。取りあえず、閉園は十六時半だから、遅くても十六時二十分には、出口前に集合ね。それと、各々用事があれば、スマホで連絡すればいいわ。それではまた後で」

 鈴華はそう言うと、三人に背を向けて、次のエリアへ向けて一人歩き始めた。そして、

「それじゃあ俺も、適当にブラブラしてくるわ。また後でな」

 宏樹はそう言って、鈴華と同じ方向へと歩き始めた。しかし、彼女と一緒に行動するつもりは無いようで。

 目的地まで一直線に進んでいる鈴華とは異なり、宏樹は周りの人や動物を観ながら、のんびりした足取りで歩いて行った。そして、

「俺はどうするかな……って、朝日、どうかしたか?」

 朝日は何故か、自分のスマホを真剣な表情で観ていた。さっきまで動物たちに夢中だったのに、いきなりスマホを触り出すとは。もしかして、何か良くない連絡でも入ったのか。優人は何となくそう思い、少し不安な気持ちが芽生えてきたが。

「……ねえ優人。この後も、一緒に回ったらダメかな?」

 朝日はスマホから顔を上げると、唐突にそんな事を聞いてきた。

「何でだ? 別にダメじゃないけど、折角だから自分の好きな所に行ったらいいんじゃないか」

 優人がそう言うと。

「なら優人、最初に私の行きたい所に付き合ってよ。残りの時間は、優人が行きたい所に、一緒に行ってあげるから」

 朝日はそんな事を言ってきた。なので、

「俺は別に良いけど。一人で好き勝手行動した方が、より楽しめるんじゃないか」

 優人はそう言った。彼は一人で居ても物事を楽しめるタイプで。集団行動をする事も苦手ではないが、どちらかといえば、一人でいる方が相手に会わせなくて気楽だと思うタイプだった。

 そして、長年の付き合いで、朝日にも少なからずそういった気持ちがあると分かっていたので、優人はそう言ったのだが。

「そんな事ないよ。一人で観て回るより、優人と二人でいた方が楽しめると私は思うよ。それに、昨日言ったでしょ?」

「何をだ?」

 優人がそう聞くと。

「今日はとても楽しい一日にするって。私が楽しいだけじゃなくて、優人にも一緒に回ってよかったと思えるモノにするから。だから、嫌じゃなかったら、私と一緒に来て欲しいな」

「……そこまで言われたら、断れないな。しょうがない、今日は一日、お前に付き合ってやるよ」

「やったあ! ありがとう優人」

「別に、礼を言われる様な事じゃないよ」

 こうして二人は、一緒に動物園を散策する事になった。そして、

「因みに、お前のもう一度見たい動物っていうのは何なんだ? 話の流れ的に、今からそのエリアに行くんだろ」

「ふふ、それはね」 

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