表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼なじみに告白したい!  作者: 向井数人
第一章
15/42

第15話 朝の戯れ

 次の日の月曜日、まだゴールデンウィーク中という事もあり、昨日遅くまでネットの動画を観て、少し夜更かしをした山下優人は。

 十一時を過ぎて、もう直ぐ昼になるという時間になって、ようやく目を覚ました。そして、

「今日は駅まで、朝日と一緒に行くんだったな。まだ時間はあるとはいえ、早めに用意しとくか」

 優人はそう言うと、昨日の内に準備しておいた、出かける時用のいつもより少しお洒落な服に着替え、一階に降りた。すると、

「あ、おはよう優人。今日は起きるのが遅かったね。もしかして昨日、夜更かしでもしてたの?」

 そこには当然の様に、渡辺朝日が居て。朝日はテレビの前にある、ソファーに腰かけており。

 優人が、平日の内に録画しておいたアニメの内の一作品を、チョコをつまみつつ、コップに注いだ炭酸飲料を飲みながら、のんびり観ていた。

「前から思ってたけど。お前はもしかして、この家が実家だと勘違いしてるんじゃないか?」

「ん? どうして?」

 朝日がそう聞くと。

「だってお前、多分この家では、他の誰よりも寛いでるぞ。いくら幼なじみとはいえ、普通、他所の家に行ったら、少しは遠慮すると思うんだけど」

 優人がそう言うと。

「……考えてみればそうだよね。でも、家と学校以外だと、ここに居る時間が一番長いから。そう考えると、この家は私にとっては、第二の実家だと言ってもいいのかもしれないね」

「よくねえよ。と言うか、母さんにはそんな事言うなよ。絶対ろくな事にはならないからな」

「分かってるよ。そんな事を言ったら、いつもみたいに早く嫁に来なさいよって言われそうだよね……私は嫌じゃないけど」

「……そう言えば、母さんは居ないのか?」

 朝日の言葉はあえてスルーし、優人はそう言った。

「うん、今は出かけてるよ。私が来た時に、十二時前には昼ご飯を買って帰って来るから、それまで留守番しててねって頼まれたの」

「そうか。悪いな、迷惑かけて」

「別にいいよ。留守番って言っても、こうしてアニメを観ながら、お菓子を食べたり、ジュースを飲んだりして、まったり過ごしてただけだから」

「……認めたくないけど、そこまで馴染まれると、朝日が第二の実家って言うのも分かる気がするな。というか、結構食ったり飲んだりしてるけど、昼ご飯はちゃんと入るのか?」

「うん、大丈夫だよ。おやつは別腹だから」

 朝日はそう言うと、チョコをもう一つつまみ、口の中に放り込んだ。

「便利な胃袋をしてるんだな、お前は」

 優人はそう言いながら、ソファーで寛いでいる朝日の隣に座った。

「太らないって意味では、確かにそうだね。ただその分、背もあんまり伸びないから、良い事ばかりでもないけどね」

 朝日は、苦笑いを浮かべながら言った。しかし、

「別に良いんじゃないか? 確かに他の女子と比べると、多少は小柄かもしれないけど。女子の背の低いは、男子の場合とは違って、そんなにコンプレックスにはならないと思うぞ。寧ろ背が低い方が、可愛くてより魅力的に観えるって事も、普通にあると思うけどな」

 優人はそう言ってフォローした。すると、

「ふーん、そうなんだ。ねえ、優人もそう思う」

「何がだ?」

「だから、私は背が低い方が可愛く見える?」

「……まあ、一般的な男子の目から観て、小柄で明るくて元気な女子は、魅力的に映ると思うぞ」

 優人はそう言ったが。

「他の男子の意見なんてどうでもいいよ。優人がどう思うのかを教えてよ」

 優人の答えが気に入らなかったのか、朝日はそう言った。なので、

「……そうだな。お前は今くらいの身長が、似合ってると思うぞ。何て言うか、子動物みたいで可愛いからな」

 優人はそう言うと、自分の右手を朝日の頭上に持って行き。その手で優しく、朝日の頭を撫で始めた。

「むう、またそうやって誤魔化す。でも優人が良いんなら、それでいいや」

「そうだな。背なんて頑張って伸ばせるものじゃないし、朝日は今のままでいいと思うぞ」

「そうだね。それに今くらいの身長の方が、優人にとっても都合がいいでしょ?」

「ん? 何がだ」

「頭を撫でるのにだよ。今は二人とも座ってるから、優人はちょっと無理してるけど。立ってやる分には、今くらいの身長差が丁度いいでしょ?」

「それもそうだな。俺が筋肉痛にならない為にも、是非とも今の高さをキープしてくれよ」

「ちょっと無理して、頭を撫でただけで筋肉痛になるんなら、さすがに優人が貧弱すぎるけどね。それに身長なんて、自分の意思じゃコントロールできないから、どうなるかは分からないけどね」

 朝日はそう言ったが。

「大丈夫だろ。お前は昔から、そんなに成長しない体質みたいだし。いきなり急成長するなんて事、奇跡でも起こらない限り無いと思うぞ」

「むー、それは自分でも思ってたけどさ。本人に正直に言う事ないじゃん、優人の意地悪」

「はは、悪いって」

「悪いと思ってるんなら、もっと頭を撫でてよ」

「撫でてるだろ」

「いつもよりやり方が雑だよ、もっと丁寧にしてよ」

「仕方ないだろ、この姿勢だとやりづらいんだよ」

「むー、優人の意地悪」

「何でだよ」

「……本当、仲がいいわよね、貴方たち」

「「え」」

 突然、後ろから声がしたので振り返ってみると。優人の母が、買い物鞄を持ったまま、呆れた様子で二人を観ていた。

「あ、おばさん。お帰りなさない」

 しかし、朝日はそんな場面を観られても、特に動揺する事もなくそう言った。前回、キスする寸前の所を観られた事に比べたら、これくらい何でもない様だ。

「ただいま。朝日ちゃん、留守番ありがとうね」

「いえ、これくらいお安い御用です。って優人、撫でるの止めないで」

「いや、母さん居るし。さすがにこれ以上続けるのは」

 優人はそう言ったが。

「はいはい、邪魔して悪かったわね。私はあっちで昼ご飯の準備をしてるから、終わったら来なさい」

 優人の母はそう言うと、そのまま二人には背を向けて、台所の方へと歩き始めた。

「だって優人、おばさんの許可も下りたし、もう少しお願いね」

「……しょうがないな。でも、昼ご飯が出来るまでだぞ。宏樹たちとの約束もあるから、あんまりのんびりしてる訳にもいかないからな」

「はーい」

 その後、優人は約束通り。昼ご飯の準備が終わるまで、朝日の頭を撫で続けて。

 珍しく昼前に起きてきた、優人の父も合わせて、四人で昼ご飯を食べた後。

 森川宏樹と藤宮鈴華と待ち合わせの約束をしている、家から少し離れた場所にある駅に、二人して自転車で向かった。  

 先日、初めて評価をして貰えました、ありがとうございます。今後もマイペースに頑張るのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ