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幼なじみに告白したい!  作者: 向井数人
第一章
14/42

第14話 暇つぶし

「……暇だね」

「そうだな」

 朝日の言葉に、優人が続いた。

 ゴールデンウィーク二日目。今日は昨日と同じく山下家に、渡辺朝日、藤宮鈴華、森川宏樹の三人が来て、四人でゴールデンウィークの課題を片付けていたのだが。

 昨日の内に殆どの課題は終わっていた事もあり、今日は二時間たたないくらいで、全ての課題が終わった。

 その後は、お菓子やジュースを飲みながら、適当に雑談をして過ごしていたのだが。十五半時を少し過ぎた頃。

「私はもう帰るわ。課題も終わったし、このままここに居てもする事がないからね」

 と言って、鈴華はそのまま山下家を後にした。そして、

「藤宮さんが帰るんなら、俺もそうするわ。目の前でイチャイチャしてる所を見せつけられるのは、独り身にはきついからな」

 そんな事を言って、宏樹も家を出て行った。ただ、朝日は家に帰っても暇だからという事で、こうして山下家に残っているのだが。

「優人、何か面白い話をしてよ」

「無茶言うなよ」

 朝日にそんな事を言われたが、芸人でも、特別トーク力があるわけでもない優人には、急にそんな事を言われても、答えられる訳は無かった。すると、

「もう、情けないね、優人は。そんなんじゃあ女子にモテないよ」

「別にいいよ。どうせ俺には、彼女なんて出来ないから」

 優人はそう言うと。

「もう、またそんな事を言って。でも、私に取っては、その方が都合がいいかな。優人がモテモテだったら、私以外の女の子と付き合う事になるかもしれないし、そうなったら嫌だから」

「朝日……」

「って、この話は今はいいか。ねえ優人、ここに居ても仕方ないし、優人の部屋に行こうよ。あそこなら、色々と暇が潰せるから」

「そうだな」

 そう言うと、二人は立ち上がり。朝日が先行して、優人の部屋を目指した。そして、階段を上り、優人の部屋のドアを朝日が開けると。

「とう!」

 朝日はそう言って、そのまま勢いよく、優人のベッドにダイブした。

「お前は本当、そこがお気に入りだな」

 優人はそう言った。朝日は優人の部屋に来ると、大体いつもベッドを占領するので、朝日がベッドに寝転んでいるのは、今では見慣れた光景だった。

 ただ、見慣れているだけで、朝日が部屋に来た日の夜は、ベッドからいい匂いがして中々寝付けず、次の日は寝不足になるという、困ったおまけが付いてくるが。そんな事を、優人が思っていると。

「うん、だってここに居ると、優人に抱きしめられてるみたいで、凄く落ち着くから」

 朝日は、枕を両手でグッと抱きしめながら、そんな事を言った。なので、

「あんまりそんな事を言うなよ」

 優人は目を逸らして、そんな事を言った。しかし、

「えー、何で? 優人が聞いてきたから、私は正直に答えただけなのに。あ、もしかして優人、照れてるの?」

 朝日は、意地の悪い笑みを浮かべてそう言った。しかし、

「馬鹿なこと言ってないで、いつもの様に大人しく適当に何か読んどけよ」

 優人はそう言うと、朝日に背を向けて本棚を観始めた。そして、

「何か読みたいモノはあのか?」

 優人は、本のタイトルを見る為に、背を少し屈め、目線を落としてそう言った。すると、

「うーん、そうだね」

 突然、朝日の声が優人の耳元で聞こえ、そのまま優人の腰に手を回して抱き着き。優人の右肩に、朝日は顔を載せてきた。

「……朝日、動きづらいんだが」

「えー、これくらい別にいいでしょ?」

 優人の言葉は意に返さず、朝日はそう言った。しかし、

「お前も一応女なんだから、少しは恥じらいを持てよ」

 優人がそう言うと。

「……ねえ、優人はもし私が彼女だったら、こんな事されるのは嫌?」

「何だ、藪から棒に」

「別に、ただちょっと気になってただけだよ。それで、どうなの?」

「何でその質問に答える必要があるんだ」

 優人がそう言うと。

「いいでしょ。幼なじみ何だから、それくらい教えてくれても」

「それを言ったら、何でも通ると思ったら大間違いだぞ」

「そう。なら、毎日朝早く起きて、優人にお弁当を作ってあげるお礼って事ならどう?」

「その言い方はずるいだろ」

「別にいいよ、ずるくても。優人の気持ちが知れるんなら。それで、どうなの?」

「……正直に言うと、嫌ではないよ」

「そう、良かった。なら、もう少しこのままでいてもいいよね?」

「……仕方ないな。でも、少しだけだぞ。さすがにこれは、俺でも恥ずかしいし」

「分かった、私もこれはちょっと照れるから」

「なら、止めたらいいだろ」

「止めないよ。確かに照れて恥ずかしいけど、それ以上に嬉しいから」

「……そうかい、こんなんで嬉しいんなら幾らでも使ってくれ」

「うん、そうさせて貰うね」

 朝日はそう言うと、彼の肩から自分の顔をどかし、背中に顔を埋め、そのまま動かなくなった。そして、



「……そんな事してて、楽しいか?」

 五分くらいその姿勢が続いて、それでも朝日は動く様子は無かったので、優人はそう聞いた。すると、

「楽しいって訳じゃないかな。でも、優人の匂いを嗅いでたら気分が落ち着くから、悪くないよ」

 朝日はそんな事を言った。

「何やってんだよお前は、恥ずかしいから止めてくれ」

「いいでしょ別に。優人のベッドに居る時は毎回匂いを嗅いでるから、今更恥ずかしがること無いよ」

「何だその暴露話、お前にそんな変態的な趣味があるとは思わなかったよ」

「変態なんて失礼ね。私はただ、自分の欲望に正直なだけよ」

「正直なのはいいけど、わざわざ口に出さなくてもいいとは思うぞ」

「まあ、私もそれは思うけどね。でも、誰かさんが鈍感で、口に出さないと伝わらないから、私も恥を忍んで、正直に気持ちを打ち明けてるんだよ」

 朝日はそう言うと、そこで一旦言葉を切り。

「さて、幼なじみ成分も補給できたし、私もそろそろ帰るね」

 朝日はそう言って、優人から離れた。その時優人は、もう少しこうしておいて欲しいと思ったが、それを口に出す勇気は無かった。なので、

「お前は本当、自由に生きてるな。さっきまで暇って言ってたのに、いきなり帰るとか。でも、もう少しゆっくりしていってもいいんだぞ」

 優人は、遠慮がちにそう言ったが。

「そうしたいのは山々だけど。明日の準備もあるから」

「準備って、そんなにする事ないだろ」

「女の子には色々あるのよ。あ、そうだ。どうせなら明日、駅まで一緒に行く?」

「別にいいぞ。というか、わざわざ別々に行く必要もないだろ」

「それもそうだね……あ、そうだ。」

「何だ? まだ何かあるのか?」

「うん、優人はこの前、私と昔した約束を覚えてるって言ったよね」

「……ああ、そうだな」

 優人がそう言うと。

「私は、あの約束を大事に思ってるし、優人の言った事も守るつもりだよ。ただ、あの時言ったよね。あんまり待たせると、私は何をするか分からないって」

「まて、朝日お前、何を企んでるんだ?」

 その言葉を聞いて、優人が慌ててそう質問すると。

「それを言ったら面白くないでしょ? ただ、明日はとても楽しい一日にするつもりだから、優人は楽しみにしててね!」

 朝日は笑顔でそう言って、優人の部屋から出て行った。

「……不安だ」

 一人残った優人は、ぼっそとそう呟いた。  

 観て頂いた方々、ありがとうございます。ただ、今日の分でストックが無くなったので毎日投稿は難しくなります。それでものんびり投稿は続けて行くので、よかったら今後ともよろしくお願いします。

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