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特別な関係  作者: 夜明け
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五笑 あたしが見た彼の初日

 いつものように、光樹と一緒に学校へ登校した。今日は、慎ちゃんがここに転校してくる日だ。いつもより、心が跳ね上がる。


「お、おはようさん。二人とも」


 教室に入ってくるなり、親友のみおが話しかけてきた。


「おはよ! 澪!」

「うん! 今日も元気だねー。あ、光樹もなんか言いなさいよ!」

「……おはよーさん」

「よろしい」


 澪が満足気に頷く。

 何故か、光樹は中学生になってから、あたし以外の人とはあまり、女子とは話さなくなった。あたしとなら、あいつから声をかけてくるけど、他の女子の場合は絶対に光樹から話しかけない。


「あ、おはよう、明日香ちゃん」


 声を掛けられ振り向くと、見た目がものすごく可愛い、あたしのもう一人の幼なじみの理沙ちゃんが声を掛けてきた。

 理沙ちゃんはかなりの純粋な子であたしとは全くの正反対の子であり、中学生になると、ちょっと気が合わない、苦手な子になった。


「おはよ、光樹」


 理沙ちゃんが目を光樹に向ける。光樹は、「おはよう」と言って、あたしの隣の席についた。理紗ちゃんがすぐさま、目を逸らす。ちょっと、頬が赤くなっているのに気付いた。相変わらず、分かりやすい。


「そういえばね、今日このクラスに転校生が来るって聞いたけど……」


 来た! 慎ちゃんだ。

 目を光樹に向けると、光樹もにやりと笑っていた。


「そうなんだ! ラッキー。男子かなぁ」


 澪が声を弾ませる。もちろん、男子ですよ、しかもかなりの美少年。

 声には出さないが、かなり、心が弾む。


「ねえ、カッコイイ男子だったらいいと思わない?」

「うん。そうだね」


 あたしは、なるべく平静を背負って言った。澪はあたしの変化に気がつかなかったらしく、くすりと微笑んで、時計を見た。


「あ、時間」

「ほんとだ。じゃあね、明日香ちゃん、澪ちゃん」

「うん」


 二人が席に戻っていく。二人が席についたのと同時にチャイムが鳴り、先生が入ってきた。


「えー、みなさん。おはようございます。今日のHRホームルームは特にありません。しかし、大切な知らせが一つあります。それで、今日のHRは終わりです。

 それでは、皆さんにお知らせです。このクラスに転入生がやってきました。仲良くね。どうぞ」


 先生がドアに視線を移す。すると、ドアが開き、一人の少年――慎ちゃんが入ってきた。


「えっと、片桐慎之介です。前は田舎の方に住んでいました。慎ちゃんと呼んでください。よろしくお願いします」


 慎ちゃんがぺこりとお辞儀をする。なんだかその姿が愛らしくみえた。

 けっこう上手くできてるじゃん。

 周りの女子が「嘘。けっこう美少年じゃない?」「カッコイイ」など、小さく呟いているのが聞こえる。


「それじゃ、片桐君はあそこね」

 

 先生が、あたしとは、反対側の廊下側の一番後ろの席を指した。慎ちゃんが教室を一周ぐるりと見渡す。あたしと目を合わすと、少し笑った。あたしも、みんなにばれないように小さく手を振る。

 慎ちゃんは、あたしが手を振ったのを確認すると、先生の指された席に座った。

 丁度チャイムが鳴った。






「明日――白石さん」


 あたしが、本を読んでいると、慎ちゃんが話しかけてきた。


「あ、慎ちゃん。良かったね、同じクラスで」


 あたしは小声で言う。なるべく、こういうのは知られたくない。

 あたしを白石と苗字で呼んでいるところから、慎ちゃんも同じらしい。


「うん。その、良かったら、学校案内してくれないかな?」

「えっ? あ、でも、こういうの男子のほうがよくない? みんな仲良くしたいみたいだし」


 あたしは、慎ちゃんの後ろを見る。男子だけではなく、女子もいた。う、あの、あたしとは気が合わないチャライ女子もいるし。

 しかし、慎ちゃんは小さく首を振った。


「その、仲がいい人のほうがいいと思うし。駄目かな?」

「別にいいよ。昼休みでいい?」

「あ、うん」


 あたしは、また、本に目を移そうとすると、


「ちょっと、待った!」


 と光樹が声をあげた。後ろには、隼人も立っていて、クスクスと笑っている。


「何だよ、光樹?」

「俺が案内する」

「は?」「え?」


 あたし達は同時に声をあげた。

 何、こいつ、むきになってるの? そんなにあたしが慎ちゃんと仲良くしてるのがいけないの? 慎ちゃんと仲良くなりたいわけ?



「俺が案内するって言ってんの。明日香になんか任せたら、片桐がどうなるかわかんねーからな」

「なっ。テメー、いい度胸じゃねーか。表出ろや!」

「ちょ、明日香、落ち着け」


 隼人になだめられる。あたしは、仕方なく、席に着いた。


「と、ともかく、俺が案内してやる!」

「え、でも」

「あ、俺さ、面白い本見つけてよー。明日香、昼休みにどう?」

「え! マジ?」

「あー、じゃあ、光樹君にお願いしようかな」


 慎ちゃんは諦めたように言う。

 あたしは、本に釣られて、昼休みは隼人と一緒にすることにした。

 ちらりと、慎ちゃんを見ると、少し不満そうな顔をしているような気がしたのは、気のせいだろうか?

えっと、更新時間がバラバラですみませんorz

なるべく、八時くらいにできるようにしたいです。。。

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