表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特別な関係  作者: 夜明け
56/57

五十四笑 最後の日、彼女と

今日は2章お送りします。

では、クライマックス1、慎之介編どうぞ!

 今日、慎ちゃんが引越す。あたしはプレゼントを手に、慎ちゃんの家へ向かった。

 ちょうど、慎ちゃんは引越し屋さんのトラックに荷物を載せていた。


「あ、慎ちゃん!」


 できるだけ大きな声で叫ぶ。慎ちゃんが振り返った。


「明日香ちゃん?」


 慎ちゃんが驚いてあたしを見る。あたしは息を切らして慎ちゃんの元に駆け寄った。


「どうしたの?」

「お別れ言い来たんだけど……はい、これ!」


 あたしは買ってきたプレゼントを渡した。


「え、何これ」

「プレゼント!」

「ありがとう。開けていい?」

「うん。あ、でも、手紙は後だよ!」

「うん」

 

 慎ちゃんが、袋を開ける。その中身は片割れのハートのキーホルダーだった。


「え、これ……」


 慎ちゃんの戸惑いの声。あたしは慌てて手を振った。


「そ、その……もう一つは、その、あ、あたしじゃないよ、持ってるの」


 ああ。あたし、何でこんなにも素直じゃないんだろう。


「あ、そうなんだ……」

「詳しくは手紙に書いてあるから」


 すぐに手紙を開けたくなったけど、やめといた。


「あー、慎之介の彼女がいるぅ!」

「お姉ちゃん!」


 急に声がして声のほうを振り向くと、そこには複数の男の子がいた。敬ちゃんも混じっている。


「うるせー! 彼女じゃない!」


 どうやら慎ちゃんのサッカー少年団のチームメイトらしい。その中にはどう見たって小学生低学年の子たちがいた。


「ごめん、うるさくて。あ、そうだ、うち来る? 何も無いけどね」

「……ううん、いい。じゃあ、帰るね」

「あ、そう……」


 少し、がっくりした表情になる、慎ちゃん。あの時の告白本当だったんだ。


「ねえ、あたしに最後に言う事のない?」


 思い切って訊いてみた。慎ちゃんは、しばらく唖然とした顔になったが、それから顔を赤くした。


「え、えっと……」


 ごくんと慎ちゃんが唾を飲む。それからあたしの方に向き直った。


「ま、前から好きでした」


 あまりに一生懸命な表情で、あたしは面白くて笑った。

 それから、慎ちゃんに近づいて、耳元である言葉を言った。

 

「――――――」

「え、それって」


 そして、慎ちゃんに小さ手を振って、あたしはその場から去った。

 慎ちゃんは顔を真っ赤にして、太陽ような真っ直ぐとした笑顔になった

 これが最後に見た慎ちゃんの顔だった。




 あれから、慎ちゃんとは何も連絡もせず、会うことも無かった。

 でも、あたしはいつまでも、慎ちゃんが好きで、あの笑顔が忘れらなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ