三笑 あたしの友達と彼
慎ちゃんと出会って、次の日。先に慎ちゃんがやってきた。
「おう! 慎ちゃん。いらっしゃい」
そういって、彼をリビングのソファに座らせた。少し、ゲームをして、後の二人を待つ事、二十分。あとの二人が来た。
『お邪魔しまーす』
「お、来たか。二人とも」
「よっ。今日こそ勝ってやるぜ!」
「ムリムリ。白石に勝てる奴なんていねーよ」
勝つと宣言する、ツンツンがあたしの幼なじみの高橋光樹。その隣で苦笑している背の小さい、それと言って特徴のない方が、村井隼人だ。隼人は、実はあたしの密かに気になっている人である。(多分)
「お、知らない男の靴発見!」
「そういや、誰か、来るって言ってたっけ」
二人が慎ちゃんの靴をまじまじと見る。
「そう。あたしの前の小学校に通ってた男の子がいるんだよ」
「へー。ついに、明日香にも春が……」
「失礼だぞ、おめー」
光樹の腹を一発殴る。
「そんな偶然あるんだな」
「そ。すごくない?」
「ああ。俺もけっこう引越したけど、そんな奴会わなかったからなあ」
そう言って、隼人は家に上がった。横で咳き込んでいる、光樹の服を掴み、こちらも家に入れる。
「あら、二人ともいらっしゃい」
『あ、お邪魔します』
お母さんは二人を見て、笑うと、鞄を手に取った。
「お母さん、今からちょっと出かけてくるわ。帰りは遅くなると思う」
「いってらっしゃい」
お母さんに生返事をして、出て行くお母さんの背を送った。見送ると、ソファに座る慎ちゃんに視線を向ける。
「慎ちゃん。こっちがあたしの幼なじみの光樹で、こっちが隼人。あたしと二人とも同じクラスなの」
「……どうも」
こちらはいざという時に小心者になる光樹。
「お、よろしく」
こちらは、誰にでも、笑顔を向ける隼人。
「よ、よろしく」
固まった表情で言う慎ちゃん。
あたしは、それぞれの反応に声をあげて笑った。
「ま、仲良くしろよ。三人とも。あ、それから、慎ちゃんは明々後日から同じ学校に通うっ
て。同じクラスだといいねー」
座る三人を見た後、オレンジジュースを四つコップに注いで、隼人の隣に座る。
「さ、勝負、勝負。おい、光樹。慎ちゃんけっこー強いでね。多分、お前負けるに」
「ふっ。今までの俺だと勘違いされると、やけどするぜ?」
「何言ってんだよ。昨日、お前、俺にボロクソ負けてたじゃねーか」
「……光樹、ビリ決定」
冗談を軽く言って笑いあう。慎ちゃんを見ると、慎ちゃんも笑っていた。良かった、と安心したけど、何もしゃべっていないことに気付いて、あたしは一つの案をだした。
「ほんじゃ、ビリの人は、一位の一つの質問に答えて行くこと!」
「お、いいねー」
「な、ずりーぞ! 明日香! お前が勝つからって!
「ええ! ちょ、明日香ちゃん!」
隼人は提案に乗り、光樹は切れて、慎ちゃんはビビッていたが、それなりに皆楽しそうだった。
よしよし。これでいいんだ。
あたしは、一人で満足に頷いて、スタートボタンを押した。
それから、四時間後。結局、ビリにしかならない光樹がかわいそうになり、ゲームをやめ
た。
「くっそー! 俺しかビリじゃないじゃんか! もう一戦だぁ!」
「やめとけって」
「そうそう。絶対勝てないよ」
「俺、三番ばっかだった」
慎ちゃんはすっかりと声を出して笑うようになった。どうやら、上手く溶け込んでくれたようだ。
一方、光樹は嘆くが、正直、ゲームをするのは飽きたし、目ばかり使って疲れた。
「うう……俺、十八回も答えたのか……」
「どんまい。それが、お前の実力なんだよ」
慰めてみたが、光樹は立ち上がらない。二人と目を合わせて、ほっとく事にする。
時計を見ると、もう五時を過ぎていた。もう、辺りは暗い。
しょうがないから、ここで、お開きという事になった。
「そんじゃ、明日ね」
「くっそぉ。次こそ……」
「根に持ちすぎだろ」
「おう、明日。あ、宿題見せてくれ」
「はあ? また? やって来いよ。たまには」
「じゃあ、明日香ちゃん。お邪魔しました」
「うん。じゃあね、慎ちゃん。明日は、遊べないけど、夜、一緒に夕食だよね」
一人ひとりに別れを言って、見送る。
人がいなくなると、急に寂しくなった。溜息をつきながら、ゲームを片付ける。
もうちょっと、隼人と話したかったな――なに考えてるんだろ、あたし。
あたしは自分に一人、苦笑して天井を仰いだ。
後書きで書く事がないんですよね。作家さん、最後のあとがきご苦労さまです。
あの、一つ、忠告をさせていただきます。この話は一応実話です。(話の流れなど)しかし、少しはフィクションが入っているので。。。