三十六笑 疑問な体育祭
体育祭の日。俺らのクラスは勝っていた。
俺の隣では、明日香ちゃんが応援している。
「がんばれぇ! お、次、光樹と隼人じゃん! がんばれよ! 負けんなよ!」
バンバンと明日香ちゃんが光樹君と隼人君の背中をたたく。「いてぇよ」と光樹君と隼人君が顔をしかめた。
俺らはそれを見て笑う。
「一位になんなきゃ、ジュースおごってもらうからな」
「借り物競争で何をがんばれって言うんだよ」
「ほんとだよなぁ」
光樹君と隼人君ががぶつぶつ呟きながら去って行く。明日香ちゃんはそれを見てから、にっこりと笑うと振り向いた。
一瞬、明日香ちゃんと視線がぶつかる。明日香ちゃんはすぐに目を逸らしてしまった。
「…ヤバイ……ないって……」
何か明日香ちゃんが言った。歓声で聞き取れず、俺はまた訊くのもなんだと思って席についた。
三十分くらいして借り物競争が終わった。さて、最後の種目、リレーだ。
「お、片桐か。がんばれよ」
残念ながら、2位だった光樹君が汗を流しながら言った。一位だった隼人君はぐっと親指を立てた。
「うん」
ちらりと明日香ちゃんを見ると、明日香ちゃんは俺を見てからすぐうつむいて、小さく言った。
「……り、リレー、負けんじゃねーぞ」
さすがに肩を叩かれたいわけじゃないが、もうちょっと、大きな声で隼人君と光樹君に言ったように応援してもらいたかったなぁ。
やっぱり、光樹君は隼人君みたいにはなれないなあ。
俺は、そう内心でそう思いながら、「おう」と隼人君や光樹君のように言った。
それから、
「あ、あとさ、一位だったら、なんかおごってよ」
と言ってみた。明日香ちゃんは顔をあげ、目を丸くしながら俺をみた。……やっぱり変だったかな。
明日香ちゃんはじっと俺を見た後、
「わ、分かった」
と小さく言った。明日香ちゃん、具合悪くなったのかなぁ。
いつも明日香ちゃんじゃないと変に思いながら、俺はリレー位置に立った。
パンと銃声がして、最初の人が走る。俺はアンカーだ。かなりプレッシャーがかかってる。
そして、俺のチームは四チーム中三位という結果で、俺のところに回ってきた。一位とはかなり離れてる。
俺はバトンを受け取って走った。
二位との差が縮まって行く。そして、追い越して、そのままゴールをした。
「おっしゃぁ!」
一位になれなかったが、俺は歓声をあげた。そのまま観客席に顔を向ける。すぐに明日香
ちゃんを見つけ、俺はにっと笑った。
明日香ちゃんは俺を見ると、一瞬固まって、はにかむように笑った。
「おめでとさん。一位じゃなかったけど、抜かすなんてすごいじゃん」
観客席に戻ると、少し小さい声だがいつもの調子で声をかけてくれる。俺はそれが嬉しかった。実は嫌われえると思っていた。
でも、そうじゃないらしい。良かった。
俺はもう一度、笑った。
えー、これはフィクションであり、実際の人物などは関係ありません……という感じで書きました。自分は体育祭が嫌いなので、全然内容を覚えてません。ということで、簡単に書きました。もっと詳しく書きたかったんですが、一生懸命な人の姿なんか覚えてないし、プログラムも声援も覚えてないので、書きませんでした。リレーも簡単に終わりましたし。
本当にすみません。