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特別な関係  作者: 夜明け
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三十二笑 俺の悩みは……

 新学期が始まって早いもので一週間。衣替えの時期で俺もすでに冬服に替えていた。

 この頃俺は悩んでいる。


「見ろ! この本を!」

「お、何? あ、いいなぁ! これ、読んでみたかったんだよ。なあ、光樹! 読んだら貸してくれ!」

「おう、いいぜ。その代わり、明日香も新刊貸せよ」

「もちろん! 隼人、お前も読むか?」

「ああ! もち、貸してもらうぜ。白石の次は俺にも貸せよ、光樹。その本のキャラってさ、かなり工夫されてるよな」

「そうなんだよ! めっちゃいい! カッコイイ!」


 いつものように会話する三人。俺はそれが気に食わなかった。

 俺には三人は何を話しているのか知らない。本の話っていうのは分かるのだが、何の本かも分からない。だから気になって三人に訊くと、三人は「げっ」という顔になって、その本を慌ててしまう。

 俺はむっとしながら、もう一押しして訊くと、三人は決まってこう答えるのだ。


「あー、本の話だよ」

「何の本?」

「えっ。えっとぉ……君達が読んじゃいけない本なんだ」

「そそ。俺らだけの秘密ということで」


 その後は別の話になる。俺でもわかるようなテレビの話、芸人、音楽。でも、本の話だけは触れなかった。それは、星野さんでも同じだった。星野さんが聞いても似たような反応をしている。

 星野さんは何とか探り当てようと、皆が見ていない時にカバーの付いた本を開こうとするがすぐに気付かれ、思いっきり手を叩かれて本を奪われるのだ。

 しかし、小坂さんの反応は少し違っていた。

 小坂さんの場合は一緒に話すことができるそうだが、小坂さんに聞いたところついていけないそうだ。話に加わりたいけど、去年、一昨年とクラスが違って全然かみ合わないそうだ。

 俺はとっくに諦め、三人が分からない会話をしている場合は話に参加しないようにしている。

 しかし、星野さんはそうはいかないらしく、積極的に参加している。

 ある日、こんな会話があった。


明日 「あのさ、それってってどんなの?」

隼人 「あー、あれはね、シナリオがいいし、有名だよ」

光樹 「ふーん。今度、見せてくれ」

隼人 「今日は? 白石も来いよ。部活ねーだろ」

明日 「まじで? おう、行く行く!」

光樹 「明日香が行くなら行くよ」

隼人 「オッケー。んじゃ来いよ」

星野 「ねえ、何の話?」

明日 「ぬわっ……理沙ちゃん……。えっとぉ、これはですね」

星野 「何々? 映画?」

光樹 「あー……」

明日 「パスだ! 隼人! が、がんばれぇ」

光樹 「俺も!」

隼人 「なっ、ちょ、待て! ……えっとそう、映画の話」

星野 「へぇ。どんな?」

隼人 「え、えっと……おい、白石! 笑うな! その、何と言うか……」

星野 「面白い?」

隼人 「ああ、うん」

星野 「今日、見せるんでしょ? ねえ、わたしも行っていい?」

隼人 「なっ……」

明日 「ああ! ごめん! あたし、今日用事あるわ! ごめん、また今度にしてもらってい    い?」

光樹 「俺も! すまん、友達と野球の練習だった! また、今度にするわ」

隼人 「そ、そうか。じゃ、みんなで揃った時のほうがいいよな。じゃあ、今日は無しにする    わ。悪いな、星野」

星野 「えー。ねえ、明日香ちゃん。一緒に村井君の家行こうよ」

明日 「えっ。無理だってば。あ、もうすぐ、時間だ」

隼人 「あ、やば。俺、支度してねー。じゃあ、また後で」


 こんな感じだった。あの時の三人の慌てようは異様で、今までの中で一番慌てていた。

 俺には、何の話か全く分からない。星野さんも断念していた。小坂さんにもさすがに分からなかったらしい。


 なんか、俺らだけ、取り残されているようで、悲しかった。

 これが俺の悩み事である。

明日、『明日香』バージョンも書きます。

ちなみに、この会話は本当に普通の人は知らない話です。というか、それが普通です。

星野さんのモデルの人に、本当に聞かれたことがあってめちゃくちゃびびったことがあります。(笑)

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