一笑 あたしと彼の出会い
「ほら、明日香! こっち!」
近くのファミレスに入るなり、お母さんが声をあげてはしゃぐ。あたしは、恥ずかしさのあまり、溜息をつきながら、お母さんの傍に寄った。
「お母さん、はずいからやめてよ。もう」
「よっちゃん、お久しぶり〜」
聞いちゃいないし……。
少しイラつきながらも、お母さんの叫ぶ方を見る。すると、一人の女性とあたしと同じくらいの男の子ともっと小学低学年くらいの男の子が席に座っていた。
「あら、ともちゃん! お久しぶり〜」
「こんちわ」
男の子が、あたしに視線を移す。
可愛い……。
それが、彼への正直の第一印象だった。
目はぱっちりしてて、男子なのにツンツンじゃなくて、サラサラの髪、背も小さかった。ジ〇ニーズにでもいるんじゃないかというほどだった。
「この子が、慎之介ね。こっちが、敬之助」
「よろしくお願いします」
「よろしくね、お姉ちゃん」
慎之介君が小さくお辞儀をする。弟の敬之助君も兄に似ていて、可愛い顔をしていた。
あたしも釣られて、ぎ心地なく、お辞儀した。
「あ、よろしくお願いします」
「まあ、ジ〇ニーズにでもいるんじゃないの?」
さすが、親子。思ってることは同じだ。
「やーね。いないって」
「いそうな顔してるわよ? まあ、それはともかく、こっちが我が娘の明日香。自己中心的なお馬鹿さんだけど、よろしくね」
「……」
色々余計だよ……。
「可愛い娘さんねぇ。じゃあ、この子達をよろしくね」
「もちろん。頑張ってね」
「ええ。それじゃ、行くわ。よろしくお願いしまーす」
慎之介君のお母さんが席を立ち、ファミレスの外へと出て行った。それを見送ると、お母さんはにっこり笑って言った。
「それじゃ、行こうかしら」
「ここが我が家よ」
お母さんが、玄関のドアを開ける。二人は「お邪魔します」と小さく言うと、中に入っていった。
あたしは、リビングのテレビの下の収納スペースから、ゲームキ〇ーブを取り出し、スマブラのカセットをカーペットに座っている二人に見せた。
「これ、知ってる?」
二人は、あたしに急に声を掛けられて、驚いたけど、しばらくした後に答えてくれた。
「一応、前の友達んちでやったことあるけど」
「僕も」
「じゃあ、やろっ!」
「え、あ……うん」
「僕もやるぅ!」
コントローラーを差し込んで、二人に渡す。あたしは、渡した後に、電源を入れて、慎之介君の隣に座った。
「えっと、慎之介君だったよね……うーん、慎ちゃんで」
「し、慎ちゃん?」
「だって、言いにくいし。いいじゃん」
「え、まあ、いいけど」
「じゃあ、僕は?」
「うーん、敬之助君だから、敬ちゃん!」
「やったー」
敬ちゃんが喜ぶ。あたしは、微笑ましく思いながら、キャラクターを選んだ。
「あたしさ、一人っ子だから、一人でやってもつまんないんだよねー。まあ、たまに友達連れて遊ぶけど」
「ふーん。えっと」
「明日香だよ」
「あ、明日香ちゃん?」
「うーん、ちゃん付けは微妙だけど……まあ、いいよ」
「そう? えっと、明日香ちゃんはさ、青井北に通ってたって本当?」
「そうだけど」
ゲームをしながら、答える。どうやら、慎ちゃんは溶け込み始めてくれたみたいだ。
「僕も、通ってたんだよ!」
敬ちゃんもゲームに集中しながら、一生懸命声をあげる。
「あのさ、何組だったの?」
「三年までいたんだけど、三組だよ」
「三組? へー」
「そう、あのさ、唯菜……も転校したから、あ、佐藤って覚えてる?」
「佐藤?」
「そ、砂糖の佐藤。よく遊んでたんだけどさ。いた?」
「砂糖? ……ああ、いたいた。佐藤航太でしょ?」
「そう! うっわー、懐かしー。あと、奥田陽一!」
「ああ、いた! 俺、四、五、六年で同じクラスだった」
「まじで! あいつとあたし、同じ誕生日でさあ。あと、井上拓也って奴は?」
「知ってる!」
「あいつとあたしは、同じお絵かき教室だったんだー」
「へー! すごいなあ」
ゲームに熱中しながら、思い出を語る。慎ちゃんとすっかり仲良くなった。
すっごく楽しい。
プルルルルル――……
「あ、電話」
思い出を語っていると、電話が鳴った。スタートボタンを押して、ゲームを止め、立ち上がる。
「はいはい。もしもし? 白石ですが」
『俺俺!』
「新手のオレオレ詐欺?」
『ちげーよ。明日香だろ?』
「そうだけど……光樹?」
『そう! 今から、遊べるか? 隼人も来るんだけど』
「へー。今日はいいや。ちょっと、用事あるし」
『テレビから、ゲーム音がするけど』
「友達が遊びに来てるんです!」
『へー。ま、じゃあ、明日は? あのさ、スマブラ強くなったから、リベンジしてーんだよ』
「あー、はいはい。ほんじゃ、明日ね。あたしんちでいいよ。どうせ、負けるくせに」
『なっ! ぜってー勝ってやる!』
「はいはい。じゃあね」
思わぬ奴から電話きた。てきとーに切って、席に戻る。
「友達?」
「そ。幼なじみ」
「そう。明日は、じゃあ、遊べないんだ」
「うーん……じゃあさ、明日一緒に遊ぼうよ! あいつらならオッケーだろうし。男子だから大丈夫だって」
あたしがにっこり笑うと、慎ちゃんは少し考えた後、笑い返してくれた。
「分かった。いく」
今回は、明日香からの視点です。
読み返すと、文がすっごく下手ですね……すみませんww
良かったら次回もよろしくお願いします。