二十三笑 彼の家で勉強会
あたしは、慎ちゃんの家の前で立っていた。たった今、インターホンを鳴らしたところ。まだ耳にピンポーンという音が残っている。
「あー、久しぶりだなあ」
あたしは誰もいないところで呟いた。
慎ちゃん家を最後に行ってからけっこう経った。多分、最後は、プール開きした日だろう。それからソフトの大会で忙しかった。
ガチャリ。
ドアが開く音と同時に慎ちゃんが「はーい」と顔を出した。
「おう、慎ちゃん」
「明日香ちゃん。どうぞ」
慎ちゃんが大きくドアを開ける。あたしは遠慮なく慎ちゃんの家に入った。
「お邪魔します」
「お、明日香ちゃんじゃん!」
あたしが挨拶をしながらリビングに入ると、慎ちゃんのお母さんがいた。
「お邪魔します」
ぺこりとお辞儀をする。
慎ちゃんのお母さんは、かなりさっぱりしていて、とても付き合いやすい。健康そうな小麦色の肌がなによりの証拠だ。
「お姉ちゃん!」
声がして、振り向くと腕を引っ張られた。
「敬ちゃん、こんちわー。お邪魔しまーす」
「お姉ちゃん、遊ぼう!」
「おい、ケイ。宿題終わってからって約束だろーが」
「分かってるよ。ねえ、ゲーム持ってきた?」
「もちろん。ほら」
敬ちゃんに持ってきたゲームを渡す。敬ちゃんは飛び跳ねて、部屋へと走っていった。
「じゃあ、リビングでいい?」
「うん。いいよ」
あたしは、カーペットの上に座り、机に勉強道具を広げた。正面で慎ちゃんも同じ事をする。
カリカリ……とシャーペンの走る音しか聞こえなくなる。
一時間ほどすると、あたしはシャーペンを転がした。
「うー、できた」
大きく伸びをする。慎ちゃんが手を止めてあたしの夏休みの宿題「夏休みの友」を覗き込んだ。もう、答え合わせも終わっている。
「はやっ」
「まあ、家でもやったしね」
「俺も、家でやったのになあ」
「ふふん。まあね。あたし、文章書くの好きだからさ、書いてても疲れないんだよね。余裕余裕」
「へえ」
あたしは勉強道具をしまった。もう一度伸びをする。
慎ちゃんも勉強道具をしまい始めた。
「あれ? 終わったの?」
「ううん、まだ。まあ、まだ、夏休み入ったばっかだし、時間あるからさ。それより、せっかく来たし、ゲームしよっか」
「大丈夫か?」
「大丈夫だって。おい、ケイー!」
慎ちゃんが立ち上がって、右端の部屋を開ける。そこから、敬ちゃんが出てきた。
「終わった?」
「うん。じゃ、ゲームしよ」
「やったー!」
敬ちゃんが急いで部屋に戻り、ゲーム機を持ち出す。
あたしは、慎ちゃんと顔を見合わせて、同時に吹き出した。
「敬ちゃん頑張れー」
「頑張れよー!」
あたしらは声を合わせて言ってそれから、また吹き出して、リビングに響き渡るくらい大爆笑した。
サブタイトルふつー……。
次回から、夏祭り編? で、いいのかな。(無責任)
頑張ります!